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王妃のまかない⑥
第3話『胃もたれに七草粥』②
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口に入れると、ほろっと歯で噛めて……舌の上でとろっと溶けていく……。
米もだけれど……この白い野菜を口に入れていく感覚も楽しいわ。
「イツキ、美味しいわ!!」
子供にはあまり馴染みのない味でしょうに、リュシアも楽しそうに食べていた。イツキは本当に嬉しそうに微笑んで、執事に頼んでおかわりをよそうように言った。
その後に、陛下も……私もおかわりしてしまった。
フルコースがなくなってからの、パンやオムレツなどの食事とは違い……一種類だけの食事なのに、非常に満足することが出来た。
主食以外に、野菜やハーブがあるからだろうか??
それか、イツキのお陰か。
(……本当に、この女性は私達を気遣うのが上手ね??)
お花見の提案はリュシアだと聞いたけれど……あの子の要望に応えた料理も振る舞ってくれたのに、翌日のことまで考えてくれている。
お粥のおかわりを堪能しようとした時、イツキが私達の前に少し深めの器を差し出してきた。器の中身は、黒い水のように見えたが……私には見覚えがあった。
「こちらはお醤油です」
少し残念。たぬきおにぎりに使うメンツユではなかったようだ。しかし、これを出したからと言うことは、お粥に使えると言うこと。
「……これを、粥に入れるのか??」
「はい、陛下。味付けがお塩だけですし、二回目以降は飽きが出るでしょうから。ほんの少しだけたらしてみてください」
「……なるほど」
陛下がご自分でショーユの器をお粥の器にたらし、軽くスプーンで混ぜてから口に運ばれた。するとすぐに、笑顔を見せてくださった。
「ふふ。お気に召しましたか?」
「うん、いいな! 入れ過ぎはよくないと思うが、少量だけなら風味が少しずつ広がっていくのが、いい!! ヘルミーナ達も試してみなさい」
そう仰るので、私もリュシアもほんの少しだけショーユをお粥の器に入れて混ぜてみた。少し茶色になってしまったが、嫌な色合いではない。
口に運んでみれば、たしかに風味は独特だがたぬきおにぎりに似ているようで、少し違う味わいが広がっていく。適度な塩気と風味だから、これもまた胃にとっても優しいわ!!
「……美味しい」
ショーユが加わったことで、野菜の味も程よく増した気がするわ……。白い野菜はなんなのか聞くと、イツキはまた笑顔になってくれた。
「呼び名は色々ありますが、よく聞く名前は『大根』と『カブ』です」
「「ダイコン、カブ……??」」
「土の中で育つ白い根茎の野菜なんです。煮たり焼いたり出来ますし、基本的には甘い野菜なんです」
陛下と聞き返してしまったが、やはり聞いたことがない。
市井では出回っているとしたら……あのアボカドのように、実は美味しくて私達も虜になってしまう食材かもしれない。
この胃にとても優しいお粥は、本当に美味しいもの。
米もだけれど……この白い野菜を口に入れていく感覚も楽しいわ。
「イツキ、美味しいわ!!」
子供にはあまり馴染みのない味でしょうに、リュシアも楽しそうに食べていた。イツキは本当に嬉しそうに微笑んで、執事に頼んでおかわりをよそうように言った。
その後に、陛下も……私もおかわりしてしまった。
フルコースがなくなってからの、パンやオムレツなどの食事とは違い……一種類だけの食事なのに、非常に満足することが出来た。
主食以外に、野菜やハーブがあるからだろうか??
それか、イツキのお陰か。
(……本当に、この女性は私達を気遣うのが上手ね??)
お花見の提案はリュシアだと聞いたけれど……あの子の要望に応えた料理も振る舞ってくれたのに、翌日のことまで考えてくれている。
お粥のおかわりを堪能しようとした時、イツキが私達の前に少し深めの器を差し出してきた。器の中身は、黒い水のように見えたが……私には見覚えがあった。
「こちらはお醤油です」
少し残念。たぬきおにぎりに使うメンツユではなかったようだ。しかし、これを出したからと言うことは、お粥に使えると言うこと。
「……これを、粥に入れるのか??」
「はい、陛下。味付けがお塩だけですし、二回目以降は飽きが出るでしょうから。ほんの少しだけたらしてみてください」
「……なるほど」
陛下がご自分でショーユの器をお粥の器にたらし、軽くスプーンで混ぜてから口に運ばれた。するとすぐに、笑顔を見せてくださった。
「ふふ。お気に召しましたか?」
「うん、いいな! 入れ過ぎはよくないと思うが、少量だけなら風味が少しずつ広がっていくのが、いい!! ヘルミーナ達も試してみなさい」
そう仰るので、私もリュシアもほんの少しだけショーユをお粥の器に入れて混ぜてみた。少し茶色になってしまったが、嫌な色合いではない。
口に運んでみれば、たしかに風味は独特だがたぬきおにぎりに似ているようで、少し違う味わいが広がっていく。適度な塩気と風味だから、これもまた胃にとっても優しいわ!!
「……美味しい」
ショーユが加わったことで、野菜の味も程よく増した気がするわ……。白い野菜はなんなのか聞くと、イツキはまた笑顔になってくれた。
「呼び名は色々ありますが、よく聞く名前は『大根』と『カブ』です」
「「ダイコン、カブ……??」」
「土の中で育つ白い根茎の野菜なんです。煮たり焼いたり出来ますし、基本的には甘い野菜なんです」
陛下と聞き返してしまったが、やはり聞いたことがない。
市井では出回っているとしたら……あのアボカドのように、実は美味しくて私達も虜になってしまう食材かもしれない。
この胃にとても優しいお粥は、本当に美味しいもの。
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