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騎士のまかない⑨
第3話 誕生日パーティー①
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そして……円月の二十二。
イツキの誕生日となった当日……夕方から、中央食堂の業務が終わった後に……参加する俺やレクサス、あと隊長がメインで飾り付けをすることになった。細かいところはサフィア殿が……さすがはメイドなので、俺達よりも手際がいい。
イツキの方は、離宮で着替えている最中だ。内輪とは言っても、陛下方がいらっしゃる席だ。何もしないわけにはいかないだろうと、サフィア殿と入れ替わりで別のメイドに連れて行かれた。
どんな風に着飾るか……正直言って俺は楽しみだった。
「こんなもんとちゃう??」
近衛騎士三人がかりで飾り付けた室内は、それなりに華やかになったと思う。慣れないことでも、なんとか出来たものだ。
「おーい! ケーキ出来たぜ?」
ワルシュ料理長の声が聞こえたので、全員で振り返れば……たしかに、ケーキが出来上がっていた!?
「せ、先輩? やり過ぎちゃうん?」
「……僕も同感です」
「これを全部……」
イツキだけが食べるわけではないが、デカ過ぎた。
高さだけなら、俺達近衛騎士とそう変わりないくらいに!? 切り分けは料理長達がやってくださるだろうが……どう食べればいいんだ!?
「……綺麗」
つぶやいたのは、サフィア殿。レクサスと付き合うようになってから、少しばかり表情が出始めたらしいが……本音まで出てくるとは。たしかに、このケーキは美しい。芸術品と言えるくらい……そびえ立つくらいの大きさはともかく。
「冬苺が大量に仕入れられたからなあ? 中にも苺どっさりだ!」
幸い、今日の参加者には苺のアレルギー体質はいない。さすがに料理長もそこは考慮してくださっているのだろう。
それから少しして、俺はサフィア殿の案内で離宮に向かいイツキをエスコートすることになった。今日はある意味で俺も祝われる側だが、メインはイツキだからな?
案内された部屋に入ると、イツキは式典の時よりは控えめだが美しく着飾られていた。
「……似合っている」
「あ……ありがとうございます」
イツキのこう言った控えめな感じが、いつまでも初々しい。ますます、惚れてしまいたいと思うくらいに。
サフィア殿の先導で、俺はイツキをエスコートしつつ来た道を戻った。本当ならじっくり眺めて褒めたいところだが、今日は彼女メインの誕生日会だ。しっかりエスコート役を果たさないと。
「お待たせ致しました」
サフィア殿が食堂に到着した時に、中にいる隊長とレクサスに声をかけた。すぐに扉が開くと……俺の隣にいるイツキが『うわぁ……』と声を上げた。
「お誕生日おめでとう、イツキ!!」
第一声を上げたのは、王女殿下だった。正装ほどではないが、それなりに着飾っていらっしゃった。
こちらに来られると、俺にひとこと断りを入れられてから……料理のあるテーブルにイツキを連れて行った。
「ワルシュ達が作ったケーキよ!!」
「え、これが??」
とにかく、早く見せたかったのか物凄くはしゃいでいらっしゃった。まあ確かに、あのケーキは凄いからな?
「主役が揃ったのならば、パーティーを始めようではないか!」
陛下のお言葉により、(一応)俺とイツキの誕生日パーティーの開始となり……王女殿下と王妃殿下以外は皆酒のグラスを手に取り、乾杯と声を上げた。
イツキの誕生日となった当日……夕方から、中央食堂の業務が終わった後に……参加する俺やレクサス、あと隊長がメインで飾り付けをすることになった。細かいところはサフィア殿が……さすがはメイドなので、俺達よりも手際がいい。
イツキの方は、離宮で着替えている最中だ。内輪とは言っても、陛下方がいらっしゃる席だ。何もしないわけにはいかないだろうと、サフィア殿と入れ替わりで別のメイドに連れて行かれた。
どんな風に着飾るか……正直言って俺は楽しみだった。
「こんなもんとちゃう??」
近衛騎士三人がかりで飾り付けた室内は、それなりに華やかになったと思う。慣れないことでも、なんとか出来たものだ。
「おーい! ケーキ出来たぜ?」
ワルシュ料理長の声が聞こえたので、全員で振り返れば……たしかに、ケーキが出来上がっていた!?
「せ、先輩? やり過ぎちゃうん?」
「……僕も同感です」
「これを全部……」
イツキだけが食べるわけではないが、デカ過ぎた。
高さだけなら、俺達近衛騎士とそう変わりないくらいに!? 切り分けは料理長達がやってくださるだろうが……どう食べればいいんだ!?
「……綺麗」
つぶやいたのは、サフィア殿。レクサスと付き合うようになってから、少しばかり表情が出始めたらしいが……本音まで出てくるとは。たしかに、このケーキは美しい。芸術品と言えるくらい……そびえ立つくらいの大きさはともかく。
「冬苺が大量に仕入れられたからなあ? 中にも苺どっさりだ!」
幸い、今日の参加者には苺のアレルギー体質はいない。さすがに料理長もそこは考慮してくださっているのだろう。
それから少しして、俺はサフィア殿の案内で離宮に向かいイツキをエスコートすることになった。今日はある意味で俺も祝われる側だが、メインはイツキだからな?
案内された部屋に入ると、イツキは式典の時よりは控えめだが美しく着飾られていた。
「……似合っている」
「あ……ありがとうございます」
イツキのこう言った控えめな感じが、いつまでも初々しい。ますます、惚れてしまいたいと思うくらいに。
サフィア殿の先導で、俺はイツキをエスコートしつつ来た道を戻った。本当ならじっくり眺めて褒めたいところだが、今日は彼女メインの誕生日会だ。しっかりエスコート役を果たさないと。
「お待たせ致しました」
サフィア殿が食堂に到着した時に、中にいる隊長とレクサスに声をかけた。すぐに扉が開くと……俺の隣にいるイツキが『うわぁ……』と声を上げた。
「お誕生日おめでとう、イツキ!!」
第一声を上げたのは、王女殿下だった。正装ほどではないが、それなりに着飾っていらっしゃった。
こちらに来られると、俺にひとこと断りを入れられてから……料理のあるテーブルにイツキを連れて行った。
「ワルシュ達が作ったケーキよ!!」
「え、これが??」
とにかく、早く見せたかったのか物凄くはしゃいでいらっしゃった。まあ確かに、あのケーキは凄いからな?
「主役が揃ったのならば、パーティーを始めようではないか!」
陛下のお言葉により、(一応)俺とイツキの誕生日パーティーの開始となり……王女殿下と王妃殿下以外は皆酒のグラスを手に取り、乾杯と声を上げた。
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