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兄のまかない
第2話 愚弟との手合わせ
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殿下の遊び相手なのなら、事情を知っているはず。愚弟は答える気がなさそうであるし、あとでイツキさんに聞いてみることにしよう。
しかしながら、女性同士の話は長い。
我々はどうすべきか。
男三人が揃えば、すべき事は語らいが終わればただひとつ!
「父上、久しぶりにアーネストと手合わせをしたいと思いますが」
「兄上?」
「そうだね? アーネストが近衛の副隊長になった以来だ。久しぶりに観させてもらおう」
「……父上」
乗り気ではないようだが、ならば出させるまで!
観戦者にイツキさんはいないが、兄として腑抜けた態度でいる愚弟を訓練させるのには良い機会。
たとえ、次期公爵である俺と違って……近衛騎士団の副隊長であれど、色々説教代わりにしてみたいと思ったのだ。
愚弟は騎士服を着ていたので、マントだけ外させ。俺は軽くシャツとズボンで模造剣を構えることにした。
場所は、中庭。
審判には父上。
合図を父上に出してもらい、俺とアーネストは模造剣で打ち合いを始めた。刃を潰してあるので、打撲などをさせなければ怪我などはしない。
(幼少期に比べて……随分と鍛えているから、いかんな?)
俺は次期公爵として父上の執務を手伝うばかりで、鍛錬などはいくらか怠けていた。だからか、アーネストの一撃一撃が酷く重く感じた。
「兄上!! 言い出しっぺの割には、攻撃が軽いですよ!?」
「そりゃ、多少は仕方がない。お前も、腕は上げたね?」
「これでも副隊長ですからね!」
打ち合うことで聞こえる甲高い音が庭に響いていくが、アーネストの攻撃を何とか受け止めているだけの俺では勝負は見えていた。
「それまで!」
父上がそう審判を下す時に、アーネストは俺の首元に剣の切先を当てていた。
「……参った。腑抜けていたのは、イツキさんへの愛だけだな?」
せめて、こんな嫌味を返すしか出来なかった。
「……兄上」
「いやいや、嬉しいと思っているんだぞ? 女気のない堅物のお前が、大切にしたい女性を連れて来る日がくるだなんて思ってもいなかった」
「……イツキは普通の女性じゃないですから」
「そうだな? さっき父上とも言ったが、いつでもハインツベルト家では彼女を受け入れるよ」
「いずれ…………ですけど」
「おや? プロポーズはまだ?」
「彼女は今の料理人の仕事で生き生きしていますし……」
それに、殿下の遊び相手となれば忙しいだけで済まないだろう。
たしかに、騎士爵位しかないアーネストとの生活で、家で籠るのをよしとしない人間が多いはず。
それはたしかに、提案としては浅はかな考えだった。
「大旦那様、旦那様、アーネスト様」
模造剣を片付けようとした時に、アーレンがやってきた。
「? どうした??」
「イツキ様が軽食をご準備してくださいました。大奥様方から……『早く来ないと私達で食べてしまう』と」
「「それはいけない!!」」
語らいだけでなく、この屋敷で料理も振る舞ってもらえるとは!!
どんな料理なのか気になり、アーレンに片付けは頼んで俺達は集まりに使った部屋へと急いだ!!
しかしながら、女性同士の話は長い。
我々はどうすべきか。
男三人が揃えば、すべき事は語らいが終わればただひとつ!
「父上、久しぶりにアーネストと手合わせをしたいと思いますが」
「兄上?」
「そうだね? アーネストが近衛の副隊長になった以来だ。久しぶりに観させてもらおう」
「……父上」
乗り気ではないようだが、ならば出させるまで!
観戦者にイツキさんはいないが、兄として腑抜けた態度でいる愚弟を訓練させるのには良い機会。
たとえ、次期公爵である俺と違って……近衛騎士団の副隊長であれど、色々説教代わりにしてみたいと思ったのだ。
愚弟は騎士服を着ていたので、マントだけ外させ。俺は軽くシャツとズボンで模造剣を構えることにした。
場所は、中庭。
審判には父上。
合図を父上に出してもらい、俺とアーネストは模造剣で打ち合いを始めた。刃を潰してあるので、打撲などをさせなければ怪我などはしない。
(幼少期に比べて……随分と鍛えているから、いかんな?)
俺は次期公爵として父上の執務を手伝うばかりで、鍛錬などはいくらか怠けていた。だからか、アーネストの一撃一撃が酷く重く感じた。
「兄上!! 言い出しっぺの割には、攻撃が軽いですよ!?」
「そりゃ、多少は仕方がない。お前も、腕は上げたね?」
「これでも副隊長ですからね!」
打ち合うことで聞こえる甲高い音が庭に響いていくが、アーネストの攻撃を何とか受け止めているだけの俺では勝負は見えていた。
「それまで!」
父上がそう審判を下す時に、アーネストは俺の首元に剣の切先を当てていた。
「……参った。腑抜けていたのは、イツキさんへの愛だけだな?」
せめて、こんな嫌味を返すしか出来なかった。
「……兄上」
「いやいや、嬉しいと思っているんだぞ? 女気のない堅物のお前が、大切にしたい女性を連れて来る日がくるだなんて思ってもいなかった」
「……イツキは普通の女性じゃないですから」
「そうだな? さっき父上とも言ったが、いつでもハインツベルト家では彼女を受け入れるよ」
「いずれ…………ですけど」
「おや? プロポーズはまだ?」
「彼女は今の料理人の仕事で生き生きしていますし……」
それに、殿下の遊び相手となれば忙しいだけで済まないだろう。
たしかに、騎士爵位しかないアーネストとの生活で、家で籠るのをよしとしない人間が多いはず。
それはたしかに、提案としては浅はかな考えだった。
「大旦那様、旦那様、アーネスト様」
模造剣を片付けようとした時に、アーレンがやってきた。
「? どうした??」
「イツキ様が軽食をご準備してくださいました。大奥様方から……『早く来ないと私達で食べてしまう』と」
「「それはいけない!!」」
語らいだけでなく、この屋敷で料理も振る舞ってもらえるとは!!
どんな料理なのか気になり、アーレンに片付けは頼んで俺達は集まりに使った部屋へと急いだ!!
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