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騎士のまかない⑧
第3話 アーネストの家族
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「はじめまして、未来の義姉上! 私は兄上の妹、アイシスと申します」
「い……イツキ=エイペック、です」
「その家名! エイペック殿と同じ名前ですね!?」
「……彼女はエイペック料理長の養女だ」
「それは素晴らしい!! さ、母上達もお待ちしております。どうぞ、屋敷の中へ」
「……アイシス。お前は着替えなさい!」
「……わかりました。では、先に」
と言って、淑女らしくない走り方で屋敷の方へと行ってしまった。
「……元気な妹さんですね?」
「お転婆どころじゃないだろう? 料理長に昔から憧れているんだ……」
今はまだ十六ではあるが……嫁の貰い手があるか心配だ。本人は淑女としての慎ましい生活よりも、冒険者や騎士を目指すと常日頃言っているが。
妹が部下になるとしたらかなり複雑だ!! 数は少ないが騎士の中に女性はいなくもない。
とりあえず、屋敷の中に入るとアイシスはいない代わりに家令のアーレンが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、アーネスト様」
「ただいま帰った。アーレン、この菓子を皿に移して欲しいのだが」
俺の亜空間収納に入れておいた、イツキ手製のパウンドケーキ。
その箱を出して、アーレンに渡した。父上達の待機場所に持って来るように頼み、その箱は別の執事に渡して……彼は俺達待機場所に案内しれくれた。
イツキは、俺の腕に自分の腕を組ませながらついてくる。庭と同様に物珍しい装飾に見えて、目を輝かせていた。
イージアス城の方が装飾は煌びやかではあるが、イツキはそれでも俺の実家からを興味深く見ている。
もし、仮にイツキと婚姻をした場合はこの家ではないが……いずれそうなると嬉しい。嬉しくてたまらないだろう。
アーレンが着いたと言うと……一番広い応接室だった。つまりは、予定通り家族全員で俺達を出迎えると言うことか。
アーレンが開けてくれると、すぐにわっと声が上がった。
「「おかえり、アーネスト!!」」
「「いらっしゃい、イツキさん!!」」
「あうー」
両親にアイシス、そして兄夫婦。
義姉上の腕の中には、久しぶりに会う甥だ。前に見た時は赤ん坊だったが随分と大きくなった。
「……ただいま戻りました」
「あ、あの……はじめまして。イツキ=エイペックと申します」
俺達を二人が中に入り、挨拶をすると俺の横に風が吹いた。
「なんて……なんて可愛らしい人なの!?」
母上がイツキに抱きついていた。涙ぐむと予想していたのからはるか斜め上の行動に俺は驚いてしまう。
「え、えっ……と?」
「ああ、ごめんなさい。わたくしは愚息の母でエイミアと言うの。あなたのことは、旦那様から少しだけ伺っているわ!!」
と言ってから、女の特権だと言わんばかりに母上はイツキに抱きつく。俺とてそう多くないでいるのに!?
「母上、やめてください!?」
「あら、いいじゃないの? あなたの婚約者でしょう?」
「え、その……」
「……まだ、です」
「まあ!?」
「アーネスト、陛下からはあのように仰っていたからてっきり」
「……違います、父上」
まだ告げていないことをとんとん拍子に進めて欲しくない!? 順序と言うものがあるだろうに!!
「愚弟。麗しい女性の気が変わらないうちに、繋ぎ止めておくのも手だぞ?」
「そうです、兄上!」
「あらあら、皆様? イツキさんが困っていらっしゃるわ」
本人らを前に、いけいけしゃあしゃあと……。こう言うわれるのだから、あまり帰ってきたくなかったのだ。と言うか、何とか射止めた女性を紹介しても言うのか!?
「お待たせ致しました」
そして、イツキを母上から引き剥がした後に。アーレン達がイツキのケーキと茶などを持ってきてくれた。
「い……イツキ=エイペック、です」
「その家名! エイペック殿と同じ名前ですね!?」
「……彼女はエイペック料理長の養女だ」
「それは素晴らしい!! さ、母上達もお待ちしております。どうぞ、屋敷の中へ」
「……アイシス。お前は着替えなさい!」
「……わかりました。では、先に」
と言って、淑女らしくない走り方で屋敷の方へと行ってしまった。
「……元気な妹さんですね?」
「お転婆どころじゃないだろう? 料理長に昔から憧れているんだ……」
今はまだ十六ではあるが……嫁の貰い手があるか心配だ。本人は淑女としての慎ましい生活よりも、冒険者や騎士を目指すと常日頃言っているが。
妹が部下になるとしたらかなり複雑だ!! 数は少ないが騎士の中に女性はいなくもない。
とりあえず、屋敷の中に入るとアイシスはいない代わりに家令のアーレンが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、アーネスト様」
「ただいま帰った。アーレン、この菓子を皿に移して欲しいのだが」
俺の亜空間収納に入れておいた、イツキ手製のパウンドケーキ。
その箱を出して、アーレンに渡した。父上達の待機場所に持って来るように頼み、その箱は別の執事に渡して……彼は俺達待機場所に案内しれくれた。
イツキは、俺の腕に自分の腕を組ませながらついてくる。庭と同様に物珍しい装飾に見えて、目を輝かせていた。
イージアス城の方が装飾は煌びやかではあるが、イツキはそれでも俺の実家からを興味深く見ている。
もし、仮にイツキと婚姻をした場合はこの家ではないが……いずれそうなると嬉しい。嬉しくてたまらないだろう。
アーレンが着いたと言うと……一番広い応接室だった。つまりは、予定通り家族全員で俺達を出迎えると言うことか。
アーレンが開けてくれると、すぐにわっと声が上がった。
「「おかえり、アーネスト!!」」
「「いらっしゃい、イツキさん!!」」
「あうー」
両親にアイシス、そして兄夫婦。
義姉上の腕の中には、久しぶりに会う甥だ。前に見た時は赤ん坊だったが随分と大きくなった。
「……ただいま戻りました」
「あ、あの……はじめまして。イツキ=エイペックと申します」
俺達を二人が中に入り、挨拶をすると俺の横に風が吹いた。
「なんて……なんて可愛らしい人なの!?」
母上がイツキに抱きついていた。涙ぐむと予想していたのからはるか斜め上の行動に俺は驚いてしまう。
「え、えっ……と?」
「ああ、ごめんなさい。わたくしは愚息の母でエイミアと言うの。あなたのことは、旦那様から少しだけ伺っているわ!!」
と言ってから、女の特権だと言わんばかりに母上はイツキに抱きつく。俺とてそう多くないでいるのに!?
「母上、やめてください!?」
「あら、いいじゃないの? あなたの婚約者でしょう?」
「え、その……」
「……まだ、です」
「まあ!?」
「アーネスト、陛下からはあのように仰っていたからてっきり」
「……違います、父上」
まだ告げていないことをとんとん拍子に進めて欲しくない!? 順序と言うものがあるだろうに!!
「愚弟。麗しい女性の気が変わらないうちに、繋ぎ止めておくのも手だぞ?」
「そうです、兄上!」
「あらあら、皆様? イツキさんが困っていらっしゃるわ」
本人らを前に、いけいけしゃあしゃあと……。こう言うわれるのだから、あまり帰ってきたくなかったのだ。と言うか、何とか射止めた女性を紹介しても言うのか!?
「お待たせ致しました」
そして、イツキを母上から引き剥がした後に。アーレン達がイツキのケーキと茶などを持ってきてくれた。
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