王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

文字の大きさ
上 下
101 / 784
店長のまかない②

第1話 ジェイシリアでも

しおりを挟む
 た~いへんも、大変よねぇん?

 ちょっと前に、このジェイシリアにやってきたアーニーの恋人。

 エイペック様の養女で、素晴らしくお胸の大きかった子……イツキちゃんが来てから、この街はちょっとずつ変わっていった。主に食事についてだけど……。


(レシピが飛ぶように売れるだけじゃなくって、この王国を救ってくれただなんて……)


 今日あの子は、イージアス城で勲章を与えられる事になっている。あたしが知っているのは、生産の方のギルドマスターから……レシピを買いに行く時に、たまたま教えてもらったから。

 あの子に世話になった者同士、情報を共有しようって事で。

 話題となっている『アレルギー』って病気は、個人差はあるけど……場合によっては死に至るんですって!?

 あたしは幸いにもなかったけど、うちの店員のひとりが乾き物の豆とかで起きてしまった。ずっとだったから誰も気にはしてなかったけど……イツキちゃんからの情報を聞いたら、即やめさせたわん。

 誰だって、毒ではなくても親しい相手に死んでほしくないもの。


(お城はそれを先に知ってたでしょうけど……ほんと、イツキちゃん様様だわん?)


 アーニーは、それに該当していないようだけど。アレルギーって言うのは、本当に個人個人で違って……ある意味どんな食材でもその病気にかかってしまうんですって?

 あたしの好物、サバとかもそうらしいけど……該当しなくて良かったわん!! イツキちゃんに教えてもらったサバのサンドイッチも好物のひとつに加わったんだもの!!


「今日は~サバサンド~~!!」


 あたしは仕事がちょこっと暇になったから、気分転換も兼ねて自分で買い出しに来た。今日のおやつも、イツキちゃんがギルドに提供したレシピで作る、つ・も・り!!

 絶対、ぜぇったい、美味しいはずだわ!!

 期待大って気分よん!!

 ただ、作り方がちょぉっと面倒らしいのよね~?


「よぉ、エマ!」


 色々店を冷やかしていたら、魚を扱うお店のおっちゃんが声を掛けてきたわん?


「あら、おっちゃん?」

「ちょいと久しぶりだなあ? いいサバあるぜ?」

「生? 酢締め??」

「どっちもあるが、今日はどうするよ?」

「んふふ~~、今日の気分はサバサンドよん! 生ちょうだい!!」

「……サバサンド??」

「イツキちゃんが教えてくれたサンドイッチなのよん?」

「…………っつーと、あの嬢ちゃんか!?」


 おっちゃんは、すぐに合点したらしくあたしに聞こうとしてたけーどぉ?

 あたしもお腹空いているし、サバサンドのレシピはギルドにある事を告げてからさっさと退散したわん。サバはちょっとお手頃価格で買えたんだから、早速店に帰って店員達の分も作ったわよん!!


「「「「美味しいですー!!」」」」


 毎日、程じゃないけど。サバの虜になったうちの店員達は、イツキちゃん直伝のサバサンドに夢中になってしまう。

 あたしも、塩とレモンの味がマッチするサバサンドにはもう虜以上よん!!

 そして、今日は初挑戦のおやつを作る予定。


「……ナカダレダンゴってどう言うお菓子なのかしら??」


 響きが可愛くって、レシピ見た時に選んじゃったのよね~?
しおりを挟む
感想 319

あなたにおすすめの小説

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろうでも公開しています。 2025年1月18日、内容を一部修正しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。