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ギルドマスターのまかない②
第4話『失敗オヤコドン』③
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厨房で食べると、また職員に誰かが来るかもしれないので……私とハーツの執務室で食べることにした。
私の出来損ないのと、ハーツが作った完璧な程美しいオヤコドン。
比較対象するにはちょうどいいが、女として負けている気がする。
市井だと女の方が料理をするのに、私、女なのに男性に負けてしまっている!? 今回のは私が目を離した隙の不注意もあるけれど。
「んじゃ、食おうぜ? 俺も腹減ってたんだよなあ?」
ハーツは私の心情を知ってか知らずか、私と同じようにお腹が空いていたのかさっさと食べ始めた。それぞれのオヤコドンは、取り分けるために大きいスプーンをひとつ添えてある。
(……食べよう)
お腹が空いて限界なので、目の前のご飯をハーツだけに食べられるわけにはいかない。
まずは、自分で作って失敗したのを器に取り分ける。
カチカチで、スプーンで切るのも大変だったがなんとか盛り付けてから自分のスプーンで食べ始めた。
「…………ん~……」
もう一度食べてみると、卵も固いがお肉も固くなっていた。玉ねぎがしなしななのは悪くないが、ほかの組み合わせとは相性が悪い。
「あ~? こりゃ単純に火の通し過ぎだなあ?」
「悩んでないで、止めておくべきだったわ」
「まあ、自分で原因わかってんならいいだろ? 俺のも食ってみろ」
「うん」
ハーツが作ったオヤコドン。
キラキラの艶々で、卵が輝いているようだ。調味料の色も相まって、とっても綺麗。
器に盛り付け、まだ熱いそれをスプーンですくって息を吹きかける。口に入れるとほふほふとしてしまうが、適度な熱さがかえって心地良い。
それに、味も凄い!!
「どーだ?」
「おい……し。イツキさんと同じくらい美味しい!!」
「あのお嬢ちゃんくらいはいかねーけど、まあマシだな? これでレシピを買っても失敗した連中には伝えられる」
「え?」
「お前さんとこには伝えねーようにしてたが、オヤコドンとかタニンドンの卵の固さがレシピを読んでもわかんね~とか言われたんだよ」
「…………そう」
私が失敗したように、購入者も失敗した人達が多かったのか。
副ギルマスの手前で押し留めていたとは言え、私も実体験してよくわかった。
イツキさんなりには丁寧に記載してくれたが、これはやはり彼女にもう一度来て頂かなくては。
「あのお嬢ちゃん呼ぶにしても、ハインツベルトの坊ちゃん同伴は絶対だろうなあ?」
「それはそうよ。おふたりは多分恋人同士だから」
「仲睦まじいっつーのはああいうのを言うんだろうなあ」
「あら? 私に対して怒っているの?」
「ちげーよ。なかなか一緒になれねーから……拗ねてた」
「ふふ」
かく言う私も、この無精髭の男性とは良い仲だ。
もうそろそろ、婚姻をしようとも考えてはいる。イツキさん達はいつなのだろうか……と少し考えたが、とりあえず拗ねていると言う目の前の男性のところに近づき、座ったままの彼に抱きついた。
私の出来損ないのと、ハーツが作った完璧な程美しいオヤコドン。
比較対象するにはちょうどいいが、女として負けている気がする。
市井だと女の方が料理をするのに、私、女なのに男性に負けてしまっている!? 今回のは私が目を離した隙の不注意もあるけれど。
「んじゃ、食おうぜ? 俺も腹減ってたんだよなあ?」
ハーツは私の心情を知ってか知らずか、私と同じようにお腹が空いていたのかさっさと食べ始めた。それぞれのオヤコドンは、取り分けるために大きいスプーンをひとつ添えてある。
(……食べよう)
お腹が空いて限界なので、目の前のご飯をハーツだけに食べられるわけにはいかない。
まずは、自分で作って失敗したのを器に取り分ける。
カチカチで、スプーンで切るのも大変だったがなんとか盛り付けてから自分のスプーンで食べ始めた。
「…………ん~……」
もう一度食べてみると、卵も固いがお肉も固くなっていた。玉ねぎがしなしななのは悪くないが、ほかの組み合わせとは相性が悪い。
「あ~? こりゃ単純に火の通し過ぎだなあ?」
「悩んでないで、止めておくべきだったわ」
「まあ、自分で原因わかってんならいいだろ? 俺のも食ってみろ」
「うん」
ハーツが作ったオヤコドン。
キラキラの艶々で、卵が輝いているようだ。調味料の色も相まって、とっても綺麗。
器に盛り付け、まだ熱いそれをスプーンですくって息を吹きかける。口に入れるとほふほふとしてしまうが、適度な熱さがかえって心地良い。
それに、味も凄い!!
「どーだ?」
「おい……し。イツキさんと同じくらい美味しい!!」
「あのお嬢ちゃんくらいはいかねーけど、まあマシだな? これでレシピを買っても失敗した連中には伝えられる」
「え?」
「お前さんとこには伝えねーようにしてたが、オヤコドンとかタニンドンの卵の固さがレシピを読んでもわかんね~とか言われたんだよ」
「…………そう」
私が失敗したように、購入者も失敗した人達が多かったのか。
副ギルマスの手前で押し留めていたとは言え、私も実体験してよくわかった。
イツキさんなりには丁寧に記載してくれたが、これはやはり彼女にもう一度来て頂かなくては。
「あのお嬢ちゃん呼ぶにしても、ハインツベルトの坊ちゃん同伴は絶対だろうなあ?」
「それはそうよ。おふたりは多分恋人同士だから」
「仲睦まじいっつーのはああいうのを言うんだろうなあ」
「あら? 私に対して怒っているの?」
「ちげーよ。なかなか一緒になれねーから……拗ねてた」
「ふふ」
かく言う私も、この無精髭の男性とは良い仲だ。
もうそろそろ、婚姻をしようとも考えてはいる。イツキさん達はいつなのだろうか……と少し考えたが、とりあえず拗ねていると言う目の前の男性のところに近づき、座ったままの彼に抱きついた。
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