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まかない婦のまかない②
第2話『とろっとハヤシライス』①
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けれど、私達がどうのこうの言っていても……ネルヴィスさんはしばらくはリュシアーノ様に打ち明けないだろうし、リュシアーノ様がネルヴィスさんを好きかどうかもわからない。
だから、言い合っていても仕方がないから。今日アーネストさんとレクサスさん達へのまかないを出そうと、私はコンロの方に行く。
「イツキはん、今日のまかないなんなん?? むちゃくちゃええ匂いすんのやけど」
「そうだな? 肉の匂いはするが」
「ふふ。ハヤシライスと言うのをご用意してみました」
「「ハヤシライス??」」
「私のいた国ではハッシュドビーフとかでも呼ばれていたんですが、よく知られているのだとハヤシライスの方です」
「……どんな料理だ??」
「ライスは米の別名です。炊いた米の上に、ハヤシ……とも呼ばれる茶色のソースをかけます。お肉と玉ねぎたっぷりです」
「ほほぉ~?」
「以前のカレードリアにも似ているのか?」
「食べ方は少し似ています」
カレーライスはアーネストさんにお出ししなかったが、食べ方はほぼ同じ。
少し深いお皿に、炊き立てのご飯を盛り付けて、その上からハヤシのルゥをかけて行く。
それで出来上がりだ。
三人分用意したら、私はいつものように手を合わせて食べることに。
「前から思っとったけど、イツキはんのそれなんなん?」
「食前の挨拶のようなものです。お二人は私の事情をご存知ですから、つい」
「『いただきます』か」
「国によってはないのですが、私の故郷では普通でした」
「ほーん?」
冷めないうちに、と食べ方を教えてからお二人はハヤシライスを口に入れてくれた。
異世界料理なのに、お友達と恋人が抵抗なく自分の料理を口にしてくれるのは嬉しい。
「んん!?」
「美味い!! カレーと違って辛くないが、肉と別の甘味が強い!? 米とこれも相性がいいな?!」
「ほんまや!! 濃い、言うか美味いとしか言えんわ!!」
「ありがとうございます」
私もひと口食べると、味見をしてわかっていてもご飯との相性は抜群。マッシュルームを入れなくても味はまずまずだった。
何故、キノコを入れなかったのは……アーネストさんとレクサスさんの共通の嫌いな食材が、キノコだからだ。
私は平気だけど、二人は嫌いだと以前に聞いたので抜いておいたのだ。
お二人はかっ込む勢いで食べてくれたので、すぐにおかわりと言ってくださった。
「うんまいわ!!」
「これはクセになる!!」
「では、ふたつめの味にしてみますか?」
「「二つ目??」」
次に用意するのは、卵とチーズ。
チーズはあらかじめ削っておいたので、すぐに使える。
卵は溶いて、オムレツ用のフライパンに油とバターたっぷり敷いた後に、ふんわり焼いて。お皿にご飯を盛り付けた上に被せる。
ここに、チーズ適量。
さらに、あえて熱々にしたハヤシのルゥをかけていく。
「「……いい匂い」」
「ふふ」
たしかに、炭水化物もだけど卵とチーズのコラボは鉄板的に美味しいからだ。
だから、言い合っていても仕方がないから。今日アーネストさんとレクサスさん達へのまかないを出そうと、私はコンロの方に行く。
「イツキはん、今日のまかないなんなん?? むちゃくちゃええ匂いすんのやけど」
「そうだな? 肉の匂いはするが」
「ふふ。ハヤシライスと言うのをご用意してみました」
「「ハヤシライス??」」
「私のいた国ではハッシュドビーフとかでも呼ばれていたんですが、よく知られているのだとハヤシライスの方です」
「……どんな料理だ??」
「ライスは米の別名です。炊いた米の上に、ハヤシ……とも呼ばれる茶色のソースをかけます。お肉と玉ねぎたっぷりです」
「ほほぉ~?」
「以前のカレードリアにも似ているのか?」
「食べ方は少し似ています」
カレーライスはアーネストさんにお出ししなかったが、食べ方はほぼ同じ。
少し深いお皿に、炊き立てのご飯を盛り付けて、その上からハヤシのルゥをかけて行く。
それで出来上がりだ。
三人分用意したら、私はいつものように手を合わせて食べることに。
「前から思っとったけど、イツキはんのそれなんなん?」
「食前の挨拶のようなものです。お二人は私の事情をご存知ですから、つい」
「『いただきます』か」
「国によってはないのですが、私の故郷では普通でした」
「ほーん?」
冷めないうちに、と食べ方を教えてからお二人はハヤシライスを口に入れてくれた。
異世界料理なのに、お友達と恋人が抵抗なく自分の料理を口にしてくれるのは嬉しい。
「んん!?」
「美味い!! カレーと違って辛くないが、肉と別の甘味が強い!? 米とこれも相性がいいな?!」
「ほんまや!! 濃い、言うか美味いとしか言えんわ!!」
「ありがとうございます」
私もひと口食べると、味見をしてわかっていてもご飯との相性は抜群。マッシュルームを入れなくても味はまずまずだった。
何故、キノコを入れなかったのは……アーネストさんとレクサスさんの共通の嫌いな食材が、キノコだからだ。
私は平気だけど、二人は嫌いだと以前に聞いたので抜いておいたのだ。
お二人はかっ込む勢いで食べてくれたので、すぐにおかわりと言ってくださった。
「うんまいわ!!」
「これはクセになる!!」
「では、ふたつめの味にしてみますか?」
「「二つ目??」」
次に用意するのは、卵とチーズ。
チーズはあらかじめ削っておいたので、すぐに使える。
卵は溶いて、オムレツ用のフライパンに油とバターたっぷり敷いた後に、ふんわり焼いて。お皿にご飯を盛り付けた上に被せる。
ここに、チーズ適量。
さらに、あえて熱々にしたハヤシのルゥをかけていく。
「「……いい匂い」」
「ふふ」
たしかに、炭水化物もだけど卵とチーズのコラボは鉄板的に美味しいからだ。
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