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王妃のまかない③
第4話 餅は産婦にダメ
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少し感触を確かめるように、陛下はモチを握っていた。そして、私が先に食べたこともだが……イツキが手がけた料理だと言うこともあり、なんのためらいもなく口にしてくださった。
モチの食感、弾力の凄さに少し驚いていたが、モグモグと口を動かしながら夫である陛下は次第にお顔を輝かせていく。
「……美味い! この優しい甘さがいい!! しかし……本当にこれが、出産後の女の身体には良くないのか??」
「はい、陛下」
イツキに声をかけると、彼女は大きく頷いた。
立ちながらもだと、陛下の分の椅子も用意して三人でテーブルを囲んだ。私達だけならともかく、料理人のイツキが腰掛けるのは……この場でなければ異常に見えるかもしれない。だが、彼女は大事な私達の理解者でもある。
「詳しく教えてくれ」
陛下が聞くと、イツキは今度は軽く頷いた。
「はい。餅と呼ばれる食材は……母乳を赤ん坊に与える母親にとっては食べないようにする食材です。同様に体を冷やす意味でナスも敬遠した方がいいと思います。餅の場合は母乳を出にくいように、胸に負担をかける可能性が高いのです」
「それもアレルギーか?」
「そういうのではないですね? 毒性とも違います。ただ、母乳は……古い知識ですが血から作られるものなので、血の巡りが悪くなる部分があると考えてください」
「…………聞いたことがないぞ?」
「私も……前の家族である母親から聞いた知識ですが」
イツキの本当の家族。
東方大陸はフェブラム大陸を含む西方大陸からはだいぶ離れているとは言え、帰れないわけではない。イツキの性格を考えると仲違いとかはしない雰囲気を感じるが……何かあったのだろうか?
もし、私に出来ることがあれば助けてあげたい。
しかし、もし東方大陸に戻れば……アーネストもだが私達ともお別れになる。それは、少し……いや、だいぶ悲しいわ。
「なるほど。その知識が確証を得られれば……ヘルミーナもだが、貴族に国民達への負担が軽くなるな」
「本当に申し訳ありませんでした。このようなものを差し入れしてしまって」
「なに、気づけばいい。それにヘルミーナも慌てていない。その病の域に達していないのであれば、俺もお前を叱りつけなどせん」
「……ありがとうございます。実は、ジェイシリアの生産ギルドにも……別のお餅のレシピを売ってしまって」
「わかった。ギルドマスターには知らせておこう。出産後の母親に向けてだけでいいか?」
「はい」
それから陛下は、ピーチ餅の箱をどうするかと私に聞き、ならば臣下の者達にも食べさせた上で納得させようということになり……御自らお持ちになって私に部屋から退室した。
イツキはと言うと、まだいくらか落ち込んでいたわ。
「気にしなくていいのよ? 私も食べ過ぎてはいないし、気づいてくれたんだもの。むしろ、食べ過ぎる前にイツキが思い出してくれてよかったわ」
「はい……次はないように気をつけます」
「けど、困ったわ。私このモチが大好きになったのに……」
しばらく食べられなくなるのがはがゆく感じるわ!
「伸びる性質がある餅もですが、お団子もしばらくはダメですね? 代わりに、粉を使ったおやつはご用意出来ますが」
「まあ! なにかしら?」
「お好み焼きというものです」
「オコノミ……ヤキ??」
「小麦粉と野菜などを使って、香ばしいソースなどを塗った焼き物です」
魅惑的な料理。
せっかくだから、リュシアも呼んで一緒に食べようかしら??
モチの食感、弾力の凄さに少し驚いていたが、モグモグと口を動かしながら夫である陛下は次第にお顔を輝かせていく。
「……美味い! この優しい甘さがいい!! しかし……本当にこれが、出産後の女の身体には良くないのか??」
「はい、陛下」
イツキに声をかけると、彼女は大きく頷いた。
立ちながらもだと、陛下の分の椅子も用意して三人でテーブルを囲んだ。私達だけならともかく、料理人のイツキが腰掛けるのは……この場でなければ異常に見えるかもしれない。だが、彼女は大事な私達の理解者でもある。
「詳しく教えてくれ」
陛下が聞くと、イツキは今度は軽く頷いた。
「はい。餅と呼ばれる食材は……母乳を赤ん坊に与える母親にとっては食べないようにする食材です。同様に体を冷やす意味でナスも敬遠した方がいいと思います。餅の場合は母乳を出にくいように、胸に負担をかける可能性が高いのです」
「それもアレルギーか?」
「そういうのではないですね? 毒性とも違います。ただ、母乳は……古い知識ですが血から作られるものなので、血の巡りが悪くなる部分があると考えてください」
「…………聞いたことがないぞ?」
「私も……前の家族である母親から聞いた知識ですが」
イツキの本当の家族。
東方大陸はフェブラム大陸を含む西方大陸からはだいぶ離れているとは言え、帰れないわけではない。イツキの性格を考えると仲違いとかはしない雰囲気を感じるが……何かあったのだろうか?
もし、私に出来ることがあれば助けてあげたい。
しかし、もし東方大陸に戻れば……アーネストもだが私達ともお別れになる。それは、少し……いや、だいぶ悲しいわ。
「なるほど。その知識が確証を得られれば……ヘルミーナもだが、貴族に国民達への負担が軽くなるな」
「本当に申し訳ありませんでした。このようなものを差し入れしてしまって」
「なに、気づけばいい。それにヘルミーナも慌てていない。その病の域に達していないのであれば、俺もお前を叱りつけなどせん」
「……ありがとうございます。実は、ジェイシリアの生産ギルドにも……別のお餅のレシピを売ってしまって」
「わかった。ギルドマスターには知らせておこう。出産後の母親に向けてだけでいいか?」
「はい」
それから陛下は、ピーチ餅の箱をどうするかと私に聞き、ならば臣下の者達にも食べさせた上で納得させようということになり……御自らお持ちになって私に部屋から退室した。
イツキはと言うと、まだいくらか落ち込んでいたわ。
「気にしなくていいのよ? 私も食べ過ぎてはいないし、気づいてくれたんだもの。むしろ、食べ過ぎる前にイツキが思い出してくれてよかったわ」
「はい……次はないように気をつけます」
「けど、困ったわ。私このモチが大好きになったのに……」
しばらく食べられなくなるのがはがゆく感じるわ!
「伸びる性質がある餅もですが、お団子もしばらくはダメですね? 代わりに、粉を使ったおやつはご用意出来ますが」
「まあ! なにかしら?」
「お好み焼きというものです」
「オコノミ……ヤキ??」
「小麦粉と野菜などを使って、香ばしいソースなどを塗った焼き物です」
魅惑的な料理。
せっかくだから、リュシアも呼んで一緒に食べようかしら??
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