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王妃のまかない③
第3話『ふわもちな桃餅』②
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それにしても、このモチはとっても美味しい。イツキと話しながら二個目を食べていると、彼女が何故か急に落ち込んでいたわ。
「? どうしたの??」
「いえ。今思い出したんですが」
「なに? 言ってみて??」
アーネストとのことかしら? と思ったが、イツキの口から出たのはまったく違ったわ。
「ご出産なされたばかりのヘルミーナ様に、ピーチ餅は失敗でした。たくさん食べ過ぎると、母乳が出にくくなる病気になることもあるんです」
「え!? このモチが!!?」
イツキはわざとじゃないし、おそらく私がレモンモチを気に入ったから似たお菓子を作ってくれたんでしょうけれど。けど、食材で病……アレルギーもだが乳が出にくい病になるかもだなんて。
イツキは東方大陸でそのような知識を、どうやって得たのかしら??
「迂闊でした。こちらは特に日持ちしにくいので……今の二個目程度に抑えた方がいいでしょう」
「……そう。ジェラルドはまだ生まれたばかりだし、乳離れは当分先だもの。逆に、教えてくれてありがとう」
「いえ!……ピーチ餅、どうしましょう?」
「病発覚ついでに、陛下に教えましょう? 市井にも伝えた方が良いわ。モチ……が出回っているかはわからないけど」
「……実は、先日ジェイシリアの生産ギルドで……その、お餅のレシピも売ったので」
「まあ、大変!」
ジェラルドをメイド達に任せて、私は陛下を呼べるか別のメイドに頼んだ。イツキの格好もあるから執務室には行けないもの。
火急の用件だと伝えれば、陛下はすぐにやって来られた。
「なにがあった、ヘルミーナ!?」
急いでやって来られたが、私を見た後にもうひとりいると知ると……イツキを見て目を丸くしたのだ。
「こんにちは、陛下」
「イツキ……か? その服は?」
「えっと……アーネストさんにこの間」
「…………例の噂は本当だったのか」
どうやら、アーネストとイツキの件は陛下もご存知だったようだ。
(アーネストったら、つめが甘いわよ?)
もうこれでは、イツキが女性だと言うのも城内に知れ渡っているかもしれないわね??
「……そうか。それで、イツキの事もだが……ヘルミーナ、俺に急ぎの用件とは?」
「イツキが教えてくれたんです。今度は女に関する病を」
「なに?」
「正確には、陛下。出産後のお母さん方が食べすぎて良くない食材です」
「…………今度はなんだ?」
「この『オモチ』だそうですわ、陛下」
私がピーチ餅の箱を陛下に見せると、夫は菓子か何かわからないのか首を捻るだけだった。
「ジェラルドの出産の時に、リュシアーノが持っていた黄色いモチとは違うな?」
「とっても美味しいんですけど、おひとついかが?」
「……わかった」
素手で食べることを伝えると、やはり素晴らしく手触りの良いモチに陛下も驚きを隠せないでいたわ。
「? どうしたの??」
「いえ。今思い出したんですが」
「なに? 言ってみて??」
アーネストとのことかしら? と思ったが、イツキの口から出たのはまったく違ったわ。
「ご出産なされたばかりのヘルミーナ様に、ピーチ餅は失敗でした。たくさん食べ過ぎると、母乳が出にくくなる病気になることもあるんです」
「え!? このモチが!!?」
イツキはわざとじゃないし、おそらく私がレモンモチを気に入ったから似たお菓子を作ってくれたんでしょうけれど。けど、食材で病……アレルギーもだが乳が出にくい病になるかもだなんて。
イツキは東方大陸でそのような知識を、どうやって得たのかしら??
「迂闊でした。こちらは特に日持ちしにくいので……今の二個目程度に抑えた方がいいでしょう」
「……そう。ジェラルドはまだ生まれたばかりだし、乳離れは当分先だもの。逆に、教えてくれてありがとう」
「いえ!……ピーチ餅、どうしましょう?」
「病発覚ついでに、陛下に教えましょう? 市井にも伝えた方が良いわ。モチ……が出回っているかはわからないけど」
「……実は、先日ジェイシリアの生産ギルドで……その、お餅のレシピも売ったので」
「まあ、大変!」
ジェラルドをメイド達に任せて、私は陛下を呼べるか別のメイドに頼んだ。イツキの格好もあるから執務室には行けないもの。
火急の用件だと伝えれば、陛下はすぐにやって来られた。
「なにがあった、ヘルミーナ!?」
急いでやって来られたが、私を見た後にもうひとりいると知ると……イツキを見て目を丸くしたのだ。
「こんにちは、陛下」
「イツキ……か? その服は?」
「えっと……アーネストさんにこの間」
「…………例の噂は本当だったのか」
どうやら、アーネストとイツキの件は陛下もご存知だったようだ。
(アーネストったら、つめが甘いわよ?)
もうこれでは、イツキが女性だと言うのも城内に知れ渡っているかもしれないわね??
「……そうか。それで、イツキの事もだが……ヘルミーナ、俺に急ぎの用件とは?」
「イツキが教えてくれたんです。今度は女に関する病を」
「なに?」
「正確には、陛下。出産後のお母さん方が食べすぎて良くない食材です」
「…………今度はなんだ?」
「この『オモチ』だそうですわ、陛下」
私がピーチ餅の箱を陛下に見せると、夫は菓子か何かわからないのか首を捻るだけだった。
「ジェラルドの出産の時に、リュシアーノが持っていた黄色いモチとは違うな?」
「とっても美味しいんですけど、おひとついかが?」
「……わかった」
素手で食べることを伝えると、やはり素晴らしく手触りの良いモチに陛下も驚きを隠せないでいたわ。
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