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ギルドマスターのまかない
第2話『わくわく親子丼』①
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生産ギルドでは、商品の流通を管理する以外にも知識の交換をすることも多い。
そのひとつにレシピも含まれている。ギルドが公式に買い取ったレシピを知りたいのであれば、レシピの難易度にもよるが情報料を払って自分で作り……露店や店舗で売り出した場合は、売り上げのごくわずかをギルドに収める仕組みだ。
そのレシピの提供者については上から下まであるが、厳選したレシピを我がジェイシリアのギルドでも所持している。
私の目の前にいるお嬢さんは、何を提案してくれるのだろうか??
「……ギルドマスターさん」
少し考え込んでから、イツキさんは私の方を見てくれた。その茶色の瞳には強い意志が垣間見えたのだ。
「ギルマスでもいいですよ? なんでしょうか??」
「えっと……あまり見かけないレシピでも?」
「ほう? もちろん大歓迎ですよ。紙とペンを用意しますか?」
「はい」
紙と羽根ペンをすぐに用意させ、イツキさんには書きやすいように部屋にある作業机を貸しました。サラサラサラ、と迷うことなくレシピを書き出す彼女の背を見るだけでも……真剣さが伺えます。いったい、どんなレシピを出してくれるのか。
子供でもない私なのに、わくわくが止まらない!
やがて、彼女がペンを置くと振り返ったら私に向かって頷いてくれた。
「拝見してもよろしいでしょうか?」
「お願いします」
紙を受け取り、胸ポケットから片眼鏡を取って装着する。そして、すぐに書き出されたレシピを読んだのだが。
『親子丼』(一人前)
《材料》
鳥系の魔物肉もしくは、ニワトリのもも肉(150g)
玉ねぎ(半分)
ネギ(細めのを二、三本)
ショーユ(おたまひとすくい)
ミリン(おたま半分)
酒(ワインでなく米ベースのをおたま半分)
水(おたま二杯くらい)
こんぶ(水につけて一晩経ったものを一枚)
炊いた米(深めの器に一杯)
コカトリスもしくは鶏卵(二個以上)
材料の大半が、組み合わせの知らないものばかり!?
どれも、一応このギルドで取り扱ってはいるものの……レシピの名前すら私でも知らない組み合わせ。米の酒だなんて、王宮ではあるかもしれないが……このギルドで在庫があったか怪しい。
作り方ももちろん見たが、シンプルのようでいてとても繊細な作業としか思えない。これはひとつ。
「…………イツキさん、ハインツベルト殿。ひとつ頼んでもよろしいでしょうか?」
「はい?」
「なんだ??」
「この『オヤコドン』をですが、作っていただけないでしょうか? もちろん身分証の作成には十分な対価とはなっています。ただ、少し……私には想像がつかなくて」
「いいですよ?」
「! 本当ですか?」
無理を言ったつもりなのに、イツキさんはあっさり引き受けてくださった。なので、着替えだけを私の執務室で済ませてから、二階にある簡易厨房に材料を全て取り揃えることになったのだ。
そのひとつにレシピも含まれている。ギルドが公式に買い取ったレシピを知りたいのであれば、レシピの難易度にもよるが情報料を払って自分で作り……露店や店舗で売り出した場合は、売り上げのごくわずかをギルドに収める仕組みだ。
そのレシピの提供者については上から下まであるが、厳選したレシピを我がジェイシリアのギルドでも所持している。
私の目の前にいるお嬢さんは、何を提案してくれるのだろうか??
「……ギルドマスターさん」
少し考え込んでから、イツキさんは私の方を見てくれた。その茶色の瞳には強い意志が垣間見えたのだ。
「ギルマスでもいいですよ? なんでしょうか??」
「えっと……あまり見かけないレシピでも?」
「ほう? もちろん大歓迎ですよ。紙とペンを用意しますか?」
「はい」
紙と羽根ペンをすぐに用意させ、イツキさんには書きやすいように部屋にある作業机を貸しました。サラサラサラ、と迷うことなくレシピを書き出す彼女の背を見るだけでも……真剣さが伺えます。いったい、どんなレシピを出してくれるのか。
子供でもない私なのに、わくわくが止まらない!
やがて、彼女がペンを置くと振り返ったら私に向かって頷いてくれた。
「拝見してもよろしいでしょうか?」
「お願いします」
紙を受け取り、胸ポケットから片眼鏡を取って装着する。そして、すぐに書き出されたレシピを読んだのだが。
『親子丼』(一人前)
《材料》
鳥系の魔物肉もしくは、ニワトリのもも肉(150g)
玉ねぎ(半分)
ネギ(細めのを二、三本)
ショーユ(おたまひとすくい)
ミリン(おたま半分)
酒(ワインでなく米ベースのをおたま半分)
水(おたま二杯くらい)
こんぶ(水につけて一晩経ったものを一枚)
炊いた米(深めの器に一杯)
コカトリスもしくは鶏卵(二個以上)
材料の大半が、組み合わせの知らないものばかり!?
どれも、一応このギルドで取り扱ってはいるものの……レシピの名前すら私でも知らない組み合わせ。米の酒だなんて、王宮ではあるかもしれないが……このギルドで在庫があったか怪しい。
作り方ももちろん見たが、シンプルのようでいてとても繊細な作業としか思えない。これはひとつ。
「…………イツキさん、ハインツベルト殿。ひとつ頼んでもよろしいでしょうか?」
「はい?」
「なんだ??」
「この『オヤコドン』をですが、作っていただけないでしょうか? もちろん身分証の作成には十分な対価とはなっています。ただ、少し……私には想像がつかなくて」
「いいですよ?」
「! 本当ですか?」
無理を言ったつもりなのに、イツキさんはあっさり引き受けてくださった。なので、着替えだけを私の執務室で済ませてから、二階にある簡易厨房に材料を全て取り揃えることになったのだ。
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