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第119話 次にするのは

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【ミラ、次は厨房に行くよ】


 お風呂でしっかり磨いた後に……風珀フウハク様は急ごうと言わんばかりに、次の目的地へと連れて行こうとした。

 何か使命感を抱いたのか、異常に乗り気だった。


「そ、そこまで急がなくとも」

【そうは言っても、料理は時間がかかるものが多い。今日のお昼ご飯は私とミラで作ろう!】

「……お昼をですか?」

【そう! そして……主とラブラブピクニックにでも行っておいで!!】

「……は、い」


 お出かけさせないつもりはなかったのだろう。

 しかし……その提案は魅力的だった。

 珀瑛ハクエイ様に喜んでいただけるのであれば……私はなんだってしたい!!

 頷くと、私達は少し急ぎ足で厨房に向かった。


【おにぎりを作ろう】


 人間達が主食にする、米から作るもの。

 私は人間だった時は……当然食べたことはないが。

 ちょうど、ポフム殿が下準備していたもので……風珀様が塩で軽く味付けしたものを食べさせていただくと。

 柔らかく、少し甘いが塩味も効いていて……非常に美味しかった。


【塩味以外にもたくさん作るよ!】

「はい!」


 珀瑛様に喜んでいただけるのであれば!!

 にぎる、と言うのが少し難しく……形はいびつになったりしたが、風珀様には『気持ちが大事』とおっしゃっていただけたので……私はたくさんたくさん、おにぎりを作った。

 お弁当の箱には、おにぎり以外にもたくさん入れたが……作り過ぎではないかと思ったが、珀瑛様はたくさん召し上がられるからと、風珀様が強く頷いたのだった。


【さ、主のところに行こう】


 お弁当の箱は、私の亜空間収納に入れ……二人で珀瑛様を探すと、中庭の方で気持ちよさそうにお昼寝をされていたのだった。


「……あら」

【…………起きなかったら、ここでミラものんびりしていて】


 私はお邪魔虫~、と風珀様は壁の中をすり抜けて戻って行かれた。


「……ふふ」


 珀瑛様は私に気づいていないのか、スヤスヤと眠られていた。

 今朝も寝顔は見たけれど……本当に整った顔立ちだ。

 この方が……私の唯一。

 私も、この方にとっては同じ。

 そのことが、とても嬉しかった。
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