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第63話 ごめん

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 ミラが目を覚ましたのは……神が帰られたすぐ後だった。

 神は『今は自分が会うべき時ではない』と仰られ……顕れた時と同じく、すぐに消えてしまわれた。

 ミラが目を覚ますと……大精霊の子達は、すぐに大粒の涙をあふれさせた。

 自分らの同胞になったのももちろんだけど、ミラはいい子だ。とっても……良い子。

 よく……あの腐った王族に囲われていたのに、変な性格に育たなかったものだ。


「み……な、さ……」

「「「「ミラ!?」」」」


 一番に抱きついたのは……ハクだった。

 ミラを……本当の意味で愛しく想っているからだろうけど。この中で一番にミラを大切にしているから。

 ミラは少しぼんやりしていたけど……少しずつ落ち着いてくると、りんごのように顔を赤くさせていった。


「は……珀瑛ハクエイ、様?」

「ミラ、ミラ! もう大丈夫か!?」

「は……は、い」

「もぉ!? ハクばっかり、ずっるい!! 私達にもミラを抱っこさせてよ!?」

「嫌や」

「即答!?」


 それだけ……と言うこともあるだろうけど。ハクって、こんなにも自己主張する子なんだなって……ちょっと嬉しくなった。いつもそう言うのはリョクだったから。


「まあまあ。無事に起きたからいいじゃない? とりあえず、ハク。少しミラを僕に貸して?」

「……おん」


 とは言え、僕は精霊王だからいくらハクでも大人しくなってくれるんだけどね?

 僕はミラの前に立つと……リョクのように、勢いよくミラに抱きついた。


「「「「「え?」」」」」

「……ほんとにごめん! 軽率なことして」


 謝罪で済む話じゃない。

 夢路を通じて……あの愚かな王族の怨嗟とかが、ミラを蝕んでいくのだなんて、予想外だった。ハクにも昨夜同じことがあったから……もう終わったと思っていたのに、迂闊だった。

 だから僕は……今抱きつきながら、ミラに更なる循環を魔力で作用させていく。

 感じる部分だと所々に穴があったので、埋めていく感じだが。


龍羽リュウハ……様?」

「安心し切っていた僕が悪い。もう大丈夫……とはまだ言えないけど。君は聞きたい? 自分に何が起こったのか」

「…………はい」


 来たばかりの昨日は、泣き虫の可愛いヒトの子だったけど。

 ハクとかから得たもので……少し強くなったかもしれない。少し離れて顔を見れば、良い表情をしていた。

 だから……僕はしっかり離れてから、言うことにした。

 ミラを苦しめていた……あの愚か者らが今どうなっているかと言うのを。
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