37 / 147
第37話 精霊の形態は
しおりを挟む
朝食と言うのも……ふわふわで、とても美味しいものばかりで……また、お腹がいっぱいになることが出来た。
このように、尽くしていただくことなど今までなかったから……また泣きそうになったが、本日は本日でまたすべきことがあるのだ。
食後のカフェオレをいただき、洗濯……をしていただいた、法衣に着替えた私は……珀瑛様のいらっしゃると言う玄関口に向かうと、そこにいらっしゃったのは違う方だった。
(……け、もの?)
銀と黒の模様が美しく、大きさは私以上。
見たこともある尾と耳はあったが、体つきは魔物のように大きいので……精霊かとは思えなかったが、大口を開けると同時に……私の頭に聞き覚えのある声が届いた。
『ミラ。俺や俺! 今日は長距離移動やもんで、この姿にしたんや』
「は……く、えい様……??」
『俺ら精霊……言うか、俺とかの大精霊には顕現出来る姿がいくつかあるんや。人型、簡易体。あとこの精獣型やんな?』
左右に尾を振る姿に、少しばかり可愛らしい……と思ってしまったが。
このお姿……の場合、どこに掴まれば良いのかわからなかった。
【……ミラ。あの背にまたがるんだ】
入り口までご一緒に来てくださった風珀様に、袖を軽く引っ張られた。
「またぐ? ですか?」
【それか……座る?】
「え? 珀瑛様に??」
背に座るなど大変畏れ多いと思ったが……珀瑛様はこちらを見ながら、首を上下に振られた。
『せや! 急ぐし、ほらほら!!』
「で、ですが……!」
お慕い申し上げていらっしゃる方のお背中に座るなど!?
無理、と首を横に振っていると……御二方からため息を吐かれた。そして、風珀様が……何故か私を軽々と持ち上げて、あっという間に……珀瑛様のお背中に座らせたのだった。
【夕飯はまた豪華にする。いってらっしゃい】
『おん。頼んだで~!!』
と、珀瑛様が言葉の後に、大きく吠えた!
体に響くようで、一瞬びっくりしてしまったが……動くのに、慌てて首に両手を巻き付けてしがみつくと……珀瑛様が少し身震いされてから、地面を蹴り、空へ駆け出したのだった。
「は、珀瑛様!!」
『今はあんまりしゃべらん方がええで! 舌噛むから!!』
なので、おっしゃった通りに……しばらく口を閉ざしている間は、景色などを見ようとしたが。
昨日の抱えられていた時とは違い、風が強過ぎて目があまり開けられず……どこに向かうのかわからなかった。
だけど、風がだんだんと落ち着いていくうちに……目を少しだけ開けてみると。
「あ」
昨日よりもさらに美しく、緑や花が咲いている場所。
その中で、龍羽様がこちらに手を振っていらっしゃるのが見えてきたのだった。
「ヤッホー! ミラ、ハク!」
龍羽様の前に、珀瑛様が降り立つが、お姿は獣のままだ。
『ミラには、まだ体が整っとらんけど。今日はあちこちの精霊らに、ミラの出すゴミとか食わせようと思うねん』
「うん。それはいいね? 端を任せている大精霊達にも……僕の魔力は届いていてもお腹ぺこぺこだろうし」
「……珀瑛様方以外にも、大精霊様が?」
「うん。精霊界の端……入り口とかを守っている子達がいてね? ミラに糧を与えるのをお願いしたいんだけど」
「……かしこまりました」
だけどその前に。
精霊王でいらっしゃる、龍羽様にもう一度召し上がっていただくことで、私の補助をしてくださるようで。
私はまた召喚を行い、出てきたのは……紫の世界での海のゴミ。『大量の貝殻』だった。
「おいひー! ちょっと塩っぱいけど、病みつきになるー!!」
可愛らしいお顔に似合わず……バリボリと召し上がられる様子は、やはり人間ではないのだなと私でもわかった。
『ええなあ。……ミラのゴミ』
珀瑛様も召し上がられたいようだったので……お屋敷に戻ったら、ひとつ出してみようかとこっそり考えておくことにした。
このように、尽くしていただくことなど今までなかったから……また泣きそうになったが、本日は本日でまたすべきことがあるのだ。
食後のカフェオレをいただき、洗濯……をしていただいた、法衣に着替えた私は……珀瑛様のいらっしゃると言う玄関口に向かうと、そこにいらっしゃったのは違う方だった。
(……け、もの?)
銀と黒の模様が美しく、大きさは私以上。
見たこともある尾と耳はあったが、体つきは魔物のように大きいので……精霊かとは思えなかったが、大口を開けると同時に……私の頭に聞き覚えのある声が届いた。
『ミラ。俺や俺! 今日は長距離移動やもんで、この姿にしたんや』
「は……く、えい様……??」
『俺ら精霊……言うか、俺とかの大精霊には顕現出来る姿がいくつかあるんや。人型、簡易体。あとこの精獣型やんな?』
左右に尾を振る姿に、少しばかり可愛らしい……と思ってしまったが。
このお姿……の場合、どこに掴まれば良いのかわからなかった。
【……ミラ。あの背にまたがるんだ】
入り口までご一緒に来てくださった風珀様に、袖を軽く引っ張られた。
「またぐ? ですか?」
【それか……座る?】
「え? 珀瑛様に??」
背に座るなど大変畏れ多いと思ったが……珀瑛様はこちらを見ながら、首を上下に振られた。
『せや! 急ぐし、ほらほら!!』
「で、ですが……!」
お慕い申し上げていらっしゃる方のお背中に座るなど!?
無理、と首を横に振っていると……御二方からため息を吐かれた。そして、風珀様が……何故か私を軽々と持ち上げて、あっという間に……珀瑛様のお背中に座らせたのだった。
【夕飯はまた豪華にする。いってらっしゃい】
『おん。頼んだで~!!』
と、珀瑛様が言葉の後に、大きく吠えた!
体に響くようで、一瞬びっくりしてしまったが……動くのに、慌てて首に両手を巻き付けてしがみつくと……珀瑛様が少し身震いされてから、地面を蹴り、空へ駆け出したのだった。
「は、珀瑛様!!」
『今はあんまりしゃべらん方がええで! 舌噛むから!!』
なので、おっしゃった通りに……しばらく口を閉ざしている間は、景色などを見ようとしたが。
昨日の抱えられていた時とは違い、風が強過ぎて目があまり開けられず……どこに向かうのかわからなかった。
だけど、風がだんだんと落ち着いていくうちに……目を少しだけ開けてみると。
「あ」
昨日よりもさらに美しく、緑や花が咲いている場所。
その中で、龍羽様がこちらに手を振っていらっしゃるのが見えてきたのだった。
「ヤッホー! ミラ、ハク!」
龍羽様の前に、珀瑛様が降り立つが、お姿は獣のままだ。
『ミラには、まだ体が整っとらんけど。今日はあちこちの精霊らに、ミラの出すゴミとか食わせようと思うねん』
「うん。それはいいね? 端を任せている大精霊達にも……僕の魔力は届いていてもお腹ぺこぺこだろうし」
「……珀瑛様方以外にも、大精霊様が?」
「うん。精霊界の端……入り口とかを守っている子達がいてね? ミラに糧を与えるのをお願いしたいんだけど」
「……かしこまりました」
だけどその前に。
精霊王でいらっしゃる、龍羽様にもう一度召し上がっていただくことで、私の補助をしてくださるようで。
私はまた召喚を行い、出てきたのは……紫の世界での海のゴミ。『大量の貝殻』だった。
「おいひー! ちょっと塩っぱいけど、病みつきになるー!!」
可愛らしいお顔に似合わず……バリボリと召し上がられる様子は、やはり人間ではないのだなと私でもわかった。
『ええなあ。……ミラのゴミ』
珀瑛様も召し上がられたいようだったので……お屋敷に戻ったら、ひとつ出してみようかとこっそり考えておくことにした。
1
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
牛人転生:オッパイもむだけのレベル上げです。
薄 氷渡
ファンタジー
異世界に転生したら牛人だった。外見は大部分が人間と大差なく、牛耳と尻尾がついている。
のどかなバスチャー村で、巨乳美少女達から搾ったミルクを行商人に売って生計を立てている。
9人家族の長男として生まれた少年カイホは、まったりとした日々を過ごしていたが1つの問題があった。ホル族の成人女性は、毎日搾乳しないと胸が張って重苦しくなってしまうのである。
女の乳房を揉むとLVが上がるニューメイジとしての才能を開花させ、乳魔術を駆使してモンスターとのバトルに挑む。愛するオッパイを守るため、カイホの冒険は続いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる