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第32話 精霊王の怖いこと
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さあて、さて。
何をしよう。
何を与えてやろうか?
僕は、大精霊の三人を見送ってから……無事に花畑に戻った僕の領土の上に寝転がった。
ハクにテレパシーで伝えた通り……これから、少しだけ忙しくなりそうだ。
神が先に……あの馬鹿な王族に罰をお与えなさっても、僕らの虫の居所が収まるわけがない。
本当に消滅の間際……そこを救ってくれたのがミラなんだ。
あの子を痛めつけていた相手が……そんな王族であるのなら、呪いだけでも生やさしい。滅びの道を確実に歩まさなくては。
「……ふふ」
ああ……どうしてやろう。
いたぶる? それも生やさしい。
末代まで祟る呪いは神がお与えなさった。
なら……僕は? 精霊である僕らは?
ミラって言う、大恩人を蔑ろ以上に……奴隷に扱っていたあいつらに、何をしてやろう。
ハクもハクで、今頃ミラから色々事情を聞いているかもしれない。それを知った上で……たくさん企んでやろう。
「……あぁ。けど、あのご飯美味しかったなあ」
企みを考えるつつも、僕は少し前に食べたものを思い出した。
食べたことがない固さ、味。
味は蕩けるように美味しくて……今まで食べてきたゴミやガラクタとかとは訳が違う。
あれは……僕ら精霊には極上の褒美と同じだ。
それを理解していなかった、ヒトの子……あの王族は本当に阿呆だね?
「……けど。ミラには教えた方がいいかなあ?」
聖女には、鑑定能力があるし。
その鑑定結果に記されていないにしては変だ。
あんな大人しくて……礼儀正しくて良い子が、阿呆のようには見えないし。
それか見え方が違っていたのかな?
ちょっと……明日ここに連れて来てもらおうかハクと連絡を取ることにした。
『ミラの鑑定結果がおかしい?』
「そう。その可能性は高い」
ちょうど、ハクと連絡をした時には……ミラはお腹がいっぱいになって、寝ちゃったそうだ。満足に睡眠も取れていなかったようで……ハクが今運んでいるらしい。部屋の割り振りとかはもう決めたんだとか。
『ちょうど、明日は西に行ってそこの連中にミラのゴミとか食わせようとしよかと』
「んー? じゃ、君にも一時的に『目』を貸すから……ミラのを見てあげて? それからこっちに来るのはいいから」
『わかりやしたー』
なら、企みはひとつ置いといて。
僕は僕ですべきことをしよう。
上空に浮かんで……両の手を上に掲げた。
『我が力……広がれ、広がれ。この地に、世界に』
虹色の光が僕の手からほとばしり……世界に広がっていくのだった。
何をしよう。
何を与えてやろうか?
僕は、大精霊の三人を見送ってから……無事に花畑に戻った僕の領土の上に寝転がった。
ハクにテレパシーで伝えた通り……これから、少しだけ忙しくなりそうだ。
神が先に……あの馬鹿な王族に罰をお与えなさっても、僕らの虫の居所が収まるわけがない。
本当に消滅の間際……そこを救ってくれたのがミラなんだ。
あの子を痛めつけていた相手が……そんな王族であるのなら、呪いだけでも生やさしい。滅びの道を確実に歩まさなくては。
「……ふふ」
ああ……どうしてやろう。
いたぶる? それも生やさしい。
末代まで祟る呪いは神がお与えなさった。
なら……僕は? 精霊である僕らは?
ミラって言う、大恩人を蔑ろ以上に……奴隷に扱っていたあいつらに、何をしてやろう。
ハクもハクで、今頃ミラから色々事情を聞いているかもしれない。それを知った上で……たくさん企んでやろう。
「……あぁ。けど、あのご飯美味しかったなあ」
企みを考えるつつも、僕は少し前に食べたものを思い出した。
食べたことがない固さ、味。
味は蕩けるように美味しくて……今まで食べてきたゴミやガラクタとかとは訳が違う。
あれは……僕ら精霊には極上の褒美と同じだ。
それを理解していなかった、ヒトの子……あの王族は本当に阿呆だね?
「……けど。ミラには教えた方がいいかなあ?」
聖女には、鑑定能力があるし。
その鑑定結果に記されていないにしては変だ。
あんな大人しくて……礼儀正しくて良い子が、阿呆のようには見えないし。
それか見え方が違っていたのかな?
ちょっと……明日ここに連れて来てもらおうかハクと連絡を取ることにした。
『ミラの鑑定結果がおかしい?』
「そう。その可能性は高い」
ちょうど、ハクと連絡をした時には……ミラはお腹がいっぱいになって、寝ちゃったそうだ。満足に睡眠も取れていなかったようで……ハクが今運んでいるらしい。部屋の割り振りとかはもう決めたんだとか。
『ちょうど、明日は西に行ってそこの連中にミラのゴミとか食わせようとしよかと』
「んー? じゃ、君にも一時的に『目』を貸すから……ミラのを見てあげて? それからこっちに来るのはいいから」
『わかりやしたー』
なら、企みはひとつ置いといて。
僕は僕ですべきことをしよう。
上空に浮かんで……両の手を上に掲げた。
『我が力……広がれ、広がれ。この地に、世界に』
虹色の光が僕の手からほとばしり……世界に広がっていくのだった。
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