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第22話 風珀の風呂③

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 びっくりする出来事が起こったのだった。


【目が……!!】


 風珀フウハク様が驚かれるのも、無理はなかった。

 髪や体を洗い終えたすぐ後に……目が、少し熱くなったので泡が入ったと思いかけたのだが。

 風珀様が鏡を見やすいように、くもりを払って下さってから確認すると……私の瞳に、変化があったのだ。


「に……じ? いいえ、銀?」


 私の瞳は、ヒトなら多くあるとされていた青だったのに……鏡で見たら、銀色に虹色が少し混じった美しい色になっていた。


【ん~? 虹は、龍羽リュウハ様の。銀は主の色……】


 風珀様の言葉に、私も思い出せた。たしかに、御二方の持つ色だった。


「……どう言うことなのでしょう?」


 けれども、いきなり御二方のお色に変化した自分の体の一部……意味がわからなかった。


【銀はわかる。ミラには、主の魔力を与えられた感じがするから。龍羽様の方は……触れていただけた??】

「あ、はい」


 たしかに、一度だけだが。

 龍羽様が実体化された後に、両手を握られた覚えがある。それを伝えれば、風珀様はなるほどと頷かれた。


【なら納得。御二方の力を循環しているのなら……ミラは完全に里へ受け入れられている証拠】

「……こちらの里で?」

【もちろん、私も同じ】


 ヨシヨシと髪を撫でてくださるのに、私はまた涙が出そうだったが……ここはグッと我慢した。


「ありがとう……ございます」

【じゃ、次は湯に浸かろう】

「あの……泡の中に?」

【少しどかすから】


 指を軽く鳴らした後に……泡のお風呂が自然と左右に分かれて、緑色の温かなお湯が見えてきた。あれも、浸かれば気持ちが良いのだろうか?

 さあさあ、と風珀様に手を引かれたので……足をゆっくり湯船に入れてみると、蛇口から出たお湯のように熱すぎることはなかった。


「……はぁ~……」


 思いっきり中に浸かってみると、体を洗う時以上に気持ちが良くて……いつまでも入っていたいと思えるほど。


【気持ちいいでしょう?】

「はい、とっても!」


 同じように浸かっていらした風珀様へ、私は強く頷いた。


【私の中に住むんだから、これは毎日……好きな時に入れるよ?】

「毎日!!」


 このような素敵なところに……毎日だなんて、なんと贅沢な。

 でも、珀瑛ハクエイ様の手を取ったのだから……こちらが私の住む場所。

 ほんの少し……あの方と離れているけれど、今はどんなことをされていらっしゃるのだろう。

 ご飯……を用意されているとはおっしゃっていたが。


【じゃ。しっかり浸かるのは夜に。ミラのお腹は我慢出来ないだろうから】

「……はい」


 その言葉をかけていただいたと同時に、お腹がまた大きな音を立てて……また軽く蛇口のお湯で体についた泡を流し。

 体の拭き方を、脱衣場で教えていただいてから……法衣ではなく、新品の『ワンピース』と言う服に着替えることになり。

 綺麗になった髪の乾かし方……生活魔法を教わって、私達は珀瑛様のいらっしゃる食堂と言うところに行くことになった。
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