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第13話 精霊王の怒り

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「……僕らにとってのご馳走を召喚出来る子が、要らない聖女? 自分勝手で追放したことが、神に知られればとんでもないことになるのに。馬鹿な子達だね?」


 少しばかり……恐ろしいと思ってしまった。

 お美しい姿でいらっしゃる、精霊王の龍羽リュウハ様が……お顔を歪めこそはしていないものの、鋭い目つきになられた。子供のお姿であるのに……私にはとても恐ろしく見えた。

 やはり、この方は……数多の精霊を束ねる精霊王様なのだと理解出来た。


「ま、それは神がなんらかの天罰を下すやろうな? んで、龍羽様。ミラが身を寄せる場所……こちらに作ってもええか?」

「あ。うん! いいよ!」


 雰囲気を壊してくださったのは、珀瑛様だった。

 私の頭をぽんぽんと撫でてくださって……少し、安心出来ると思っていたら、龍羽様が簡単に提案を承諾したのだ。


「え? こちら……で?」


 私は思わず、素っ頓狂な声を上げてしまったが……他の皆様は『うんうん』と首を縦に振ってくださった。


「賛成~!」

「妾も同意じゃ」

「……嬉しい」

「ほな、決定!」


 すると、ふわっと体が浮いたかと思えば……たくさんの腕によって抱えられたのだ。


「「「わーっしょい、わーっしょい!!」」」

「……丁寧、に」


 龍羽様も体を浮かせて……皆様で、私を胴上げしてくださったのだ。

 つまりは……こちら側に、歓迎されていると言うこと。

 嬉しくて……また、涙があふれてきた。


「あ……りがとう、ござ……います」


 下ろしていただいてからも、まだぐずぐずと泣いてしまったが。皆様は……とても笑顔でいらっしゃった。無表情に見えた翠雨スイウ様までも。


「じゃさ、じゃさ! ミラの居住地にする場所……誰のとこが良い?」


 私が泣き止んだ具合のところで……龍羽様が、そのような提案をしてくださった。


「……え?」

「ほら。家とかはすぐ出来るだろうけど、ヒト側と違って勝手とかが色々違うでしょ? 大精霊に女の子が居ても、ミラが気に入った大精霊のとこで生活して良いよ? 僕が許可してあげる」

「え、え??」


 つまりは……大精霊様と、同居?

 一緒に住むということ??

 どなたと……と、少し頭が混乱したが……珀瑛様方に振り返ると、名を教える前のように期待されているような輝いた表情を向けられていた。


「俺?」

「私?」

「妾かえ?」

「……僕?」

「もしくは、僕ぅ?」


 途中で、龍羽様まで加わってきたが……私はどなたを選ばなくてはいけないのだろうか?

 でも、この世界で生きていくためには……この方々から、ひとまずおひとりは選ばなくてはいけない。

 なら……と、私は手を伸ばすことにしたのだった。
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