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第12話 精霊王救助
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召喚魔法を終えて、私達の前に顕れたのは。
【『建物の残骸』。文字通りゴミです。若緑の世界では普通に存在します】
精霊王様のお体とほぼ同じくらいの大きさの……岩石とも違う、巨大な岩のような塊が……魔法陣から出てきたのだ。
「……なんじゃ、あれは」
「すっごーい! 美味しそ~!!」
「緑斗、食べちゃダメ」
「わかってるよ~」
凰華様達も追いついて来られ、私を抱えたままの珀瑛様の隣に降りて来られたのだった。
「皆様!」
「すっごいね~、ミラ! あれも異界のゴミ?」
「……そのようです」
緑斗様からのご質問に答えた時。
前の方から『ガキっ!』と大きな音が聞こえてきたため、全員で振り返ると。
(た……食べてる……!!)
あの岩のようなお姿の精霊王様が動いていらしたようで。ガリ、バキバキ……と、口のような箇所で、私が顕現させた『ゴミ』を食べていらっしゃる。
私には食べられなくて当然だけど……余程、美味しいのだろうか?
黙々と食べ進めていたのだが、最後のひと口を食べる寸前に……それは起きた。
『……美味!』
甲高い、子供のような声が頭に響いた時。
黒ずんでいた地面が……精霊王様を中心に、最初は少しずつ……次第に早くなって、緑や花々。所々、泉のような水の溜まり場が出来た。
私達のいる場所は泉となったため、珀瑛様が私を下ろすために草の上へと移動して下さった。
「は~~……何とか間に合ったなあ?」
珀瑛様がそう仰ると……精霊王様の方に振り返れば、あの岩のようなお姿が……なくなっていた。
「や、諸君!」
虹色の髪に、翠雨様とは違う水色の装束を身につけた……子供の姿。背には、黒と虹色が美しい……蝶のような大きな羽根を持っていらっしゃった。
あの方が……精霊王様?
「間に合うて良かったわ、精霊王様」
「ん! ありがとう。……あれ、ヒトの子?」
「そうじゃ。この女子が、精霊王様だけでなく妾らを助けてくださったのじゃよ」
「美味しかったでしょ!? 精霊王様!」
「……うん」
「そっか!! ありがとう、ヒトの子!!」
精霊王様は、私の手を掴むと珀瑛様がした時のように上下に強く振ったのだった。
「……私は、ただ召喚をしただけで」
「けど。美味しかったよ!! 僕もだけど、ハクらの調子も良いし。君がいなきゃ、里……精霊界は崩壊するとこだったからね?」
「せや! ミラは自信持ち?」
「ミラって言うの?」
「……申し遅れました。ミラジェーン=アクエリエスと申します」
「そうなんだ? じゃ、僕もミラって呼ぶね! 僕のことは龍羽。呼びにくいからリュウでも良いよ?」
「そ、そんな!?」
大精霊の皆様方もだが、精霊王様にも畏れ多いと言うのに……けれども、精霊王様はちっとも気にされていないのかニコニコと微笑んでいらっしゃるだけだった。
「んー。ところで、恩人に対して聞いてもいいかな? ここにいる理由」
「それなんやけど」
私の諸事情を珀瑛様が、龍羽様にお伝えしたのだが……すぐに、龍羽様は幼い顔立ちに似合わない激怒した表情へと変化させていった!!
【『建物の残骸』。文字通りゴミです。若緑の世界では普通に存在します】
精霊王様のお体とほぼ同じくらいの大きさの……岩石とも違う、巨大な岩のような塊が……魔法陣から出てきたのだ。
「……なんじゃ、あれは」
「すっごーい! 美味しそ~!!」
「緑斗、食べちゃダメ」
「わかってるよ~」
凰華様達も追いついて来られ、私を抱えたままの珀瑛様の隣に降りて来られたのだった。
「皆様!」
「すっごいね~、ミラ! あれも異界のゴミ?」
「……そのようです」
緑斗様からのご質問に答えた時。
前の方から『ガキっ!』と大きな音が聞こえてきたため、全員で振り返ると。
(た……食べてる……!!)
あの岩のようなお姿の精霊王様が動いていらしたようで。ガリ、バキバキ……と、口のような箇所で、私が顕現させた『ゴミ』を食べていらっしゃる。
私には食べられなくて当然だけど……余程、美味しいのだろうか?
黙々と食べ進めていたのだが、最後のひと口を食べる寸前に……それは起きた。
『……美味!』
甲高い、子供のような声が頭に響いた時。
黒ずんでいた地面が……精霊王様を中心に、最初は少しずつ……次第に早くなって、緑や花々。所々、泉のような水の溜まり場が出来た。
私達のいる場所は泉となったため、珀瑛様が私を下ろすために草の上へと移動して下さった。
「は~~……何とか間に合ったなあ?」
珀瑛様がそう仰ると……精霊王様の方に振り返れば、あの岩のようなお姿が……なくなっていた。
「や、諸君!」
虹色の髪に、翠雨様とは違う水色の装束を身につけた……子供の姿。背には、黒と虹色が美しい……蝶のような大きな羽根を持っていらっしゃった。
あの方が……精霊王様?
「間に合うて良かったわ、精霊王様」
「ん! ありがとう。……あれ、ヒトの子?」
「そうじゃ。この女子が、精霊王様だけでなく妾らを助けてくださったのじゃよ」
「美味しかったでしょ!? 精霊王様!」
「……うん」
「そっか!! ありがとう、ヒトの子!!」
精霊王様は、私の手を掴むと珀瑛様がした時のように上下に強く振ったのだった。
「……私は、ただ召喚をしただけで」
「けど。美味しかったよ!! 僕もだけど、ハクらの調子も良いし。君がいなきゃ、里……精霊界は崩壊するとこだったからね?」
「せや! ミラは自信持ち?」
「ミラって言うの?」
「……申し遅れました。ミラジェーン=アクエリエスと申します」
「そうなんだ? じゃ、僕もミラって呼ぶね! 僕のことは龍羽。呼びにくいからリュウでも良いよ?」
「そ、そんな!?」
大精霊の皆様方もだが、精霊王様にも畏れ多いと言うのに……けれども、精霊王様はちっとも気にされていないのかニコニコと微笑んでいらっしゃるだけだった。
「んー。ところで、恩人に対して聞いてもいいかな? ここにいる理由」
「それなんやけど」
私の諸事情を珀瑛様が、龍羽様にお伝えしたのだが……すぐに、龍羽様は幼い顔立ちに似合わない激怒した表情へと変化させていった!!
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