5 / 147
第5話 役に立てた聖女②
しおりを挟む
ぱたぱた、と精霊が私を置いていかない早さで向かった先は。
精霊が落ちてきた時と同じように……ぐったりとした、彼とは姿の違う精霊達が、洞窟のようなところで倒れているのが見えてきた。
「まあ!?」
これは大変だ。精霊が倒れる理由はよくわかっていないが、一大事だと言うのは私でもわかった。彼らにも……あのガラクタなどを食べさせれば、いいのだろうか?
『姉ちゃん! こいつらにも、あのうんまいの出したって!!』
「ですが……望み通りには、出ないと思います」
『大丈夫や! ちょぉ、こっち来て』
ちょいちょいと、屈むように手招きされたので……言われた通りに屈むと、頬に何かが軽く当たった。
「……これは!?」
その刺激を受けた直後。
体中に……魔力が満ちていく感覚があった。いつもの召喚魔法は、私自身の魔力のみで発動出来るが。
これなら……と、私は上空に両手を上げた。
『あまねく光! 光、光よ。我が身に宿る光を使え。彼の地とこの地を繋ぐ、綱となれ!!』
あふれんばかりの力を解き放てば……宙にはこれまでよりも大きな魔法陣が顕現した。
すぐに、私と精霊達の間の地面に降りて刻まれていくと、先程の召喚以上に強く光を発した。
『とこしえに結ぶ、盟約を紡ごう。我が望みを、今ここに召喚せん!!』
両手を強く振り下ろし、陣の中央にガラクタを顕現するイメージをしてみた。先程よりも、もっと大きくて……味が美味しいのであれば、極上のものであれと祈って。
そして……顕れたそれは。
私の予想をはるかに超える……とんでもないものが出てきた。
『な、なんやこれぇえええええ!?』
精霊が大声を上げるのも無理はない。
私も呆気に取られていたが……出てきたガラクタは、『乗り物』のような形をしていた。
【こちら、蒼の世界では廃車……ゴミ扱いです。キャンピングカーと呼ばれていました】
あちこちがぼろぼろで、とても動き出そうという感じではなかったが。
鑑定眼から得た情報では、そのような事が記されていた。
『……ん? なに?』
『何か……芳しい匂いがするのお』
『……な、に?』
倒れていた精霊達が、目を覚ましたようだ。
駆け寄っていいか、少し悩んだが……後ろにいた精霊に頷かれたので、彼らに少し近づいてみた。ふわもこの精霊とは違い、岩をまとったものや草の茂み、さらには水のスライムのようなもの。
「大丈夫ですか? 助け……にきました」
『……お主、何者じゃ?』
多分、岩をまとった精霊だと思う。顔を上げた時に、目が合ったからだ。声音から、少し年老いた女性体だと思うが……下手に警戒させてはいけないと私は小さく深呼吸をした。
「精霊殿に……あちらの方に、助力を求められて。この里にお邪魔した者です。ただいま、召喚魔法を扱いました」
『……ほぉ。お主が』
そして、他の精霊達とあの『キャンピングカー』と言うものを目にすると。
全員……ほとんど同時に、肩を震えさせたように見えた。
『『『いただき、まーす!!』』』
と、私がびっくりするくらいの大声を上げ。
三体同時に、あれにかじりついたのだった。
精霊が落ちてきた時と同じように……ぐったりとした、彼とは姿の違う精霊達が、洞窟のようなところで倒れているのが見えてきた。
「まあ!?」
これは大変だ。精霊が倒れる理由はよくわかっていないが、一大事だと言うのは私でもわかった。彼らにも……あのガラクタなどを食べさせれば、いいのだろうか?
『姉ちゃん! こいつらにも、あのうんまいの出したって!!』
「ですが……望み通りには、出ないと思います」
『大丈夫や! ちょぉ、こっち来て』
ちょいちょいと、屈むように手招きされたので……言われた通りに屈むと、頬に何かが軽く当たった。
「……これは!?」
その刺激を受けた直後。
体中に……魔力が満ちていく感覚があった。いつもの召喚魔法は、私自身の魔力のみで発動出来るが。
これなら……と、私は上空に両手を上げた。
『あまねく光! 光、光よ。我が身に宿る光を使え。彼の地とこの地を繋ぐ、綱となれ!!』
あふれんばかりの力を解き放てば……宙にはこれまでよりも大きな魔法陣が顕現した。
すぐに、私と精霊達の間の地面に降りて刻まれていくと、先程の召喚以上に強く光を発した。
『とこしえに結ぶ、盟約を紡ごう。我が望みを、今ここに召喚せん!!』
両手を強く振り下ろし、陣の中央にガラクタを顕現するイメージをしてみた。先程よりも、もっと大きくて……味が美味しいのであれば、極上のものであれと祈って。
そして……顕れたそれは。
私の予想をはるかに超える……とんでもないものが出てきた。
『な、なんやこれぇえええええ!?』
精霊が大声を上げるのも無理はない。
私も呆気に取られていたが……出てきたガラクタは、『乗り物』のような形をしていた。
【こちら、蒼の世界では廃車……ゴミ扱いです。キャンピングカーと呼ばれていました】
あちこちがぼろぼろで、とても動き出そうという感じではなかったが。
鑑定眼から得た情報では、そのような事が記されていた。
『……ん? なに?』
『何か……芳しい匂いがするのお』
『……な、に?』
倒れていた精霊達が、目を覚ましたようだ。
駆け寄っていいか、少し悩んだが……後ろにいた精霊に頷かれたので、彼らに少し近づいてみた。ふわもこの精霊とは違い、岩をまとったものや草の茂み、さらには水のスライムのようなもの。
「大丈夫ですか? 助け……にきました」
『……お主、何者じゃ?』
多分、岩をまとった精霊だと思う。顔を上げた時に、目が合ったからだ。声音から、少し年老いた女性体だと思うが……下手に警戒させてはいけないと私は小さく深呼吸をした。
「精霊殿に……あちらの方に、助力を求められて。この里にお邪魔した者です。ただいま、召喚魔法を扱いました」
『……ほぉ。お主が』
そして、他の精霊達とあの『キャンピングカー』と言うものを目にすると。
全員……ほとんど同時に、肩を震えさせたように見えた。
『『『いただき、まーす!!』』』
と、私がびっくりするくらいの大声を上げ。
三体同時に、あれにかじりついたのだった。
1
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる