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第588話 カウルの実態

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 あっしが……あっしが『エンシェントスライム』??

 なんかの間違いじゃないでやんすか!?

 兄さんと出会う前から、話すことは出来てたでやんすけど。

 身体の構造以上に、進化してたでやんすかぁあ!?

 全然気づかなかったでやんすよぉ!?


「……たしかに、俺の鑑定でもエンシェントスライムと表示される」


 ラティスト兄さんでもやんすよ!?

 創始の大精霊様がおっしゃることはマジでやんすぅ!!


「あ、あ、あ、あっしがエンシェントスライム!?」

「個体としては通常のスライムのままだが、バカ神が色々付与しているからな。考えれば、それくらいに進化していてもおかしくはない」

「どぇええええ!?」


 ラティスト兄さんが本当にそうおっしゃるんだったら……あっしの個体は本当に『エンシェントスライム』。

 てことは……ダメダメスライムでしかなかった、あっしはあの時に進化していた?

 ケント兄さんの、獣魔もでやんすけど……兄さんに踏まれて、いっしょにいることを決めたあの瞬間から。

 あっしの生き方が、もうとっくに変わってたでやんすか!?


「すごいよ、カウル!!」


 ぎゅっと抱きしめられた感触と嬉しいがあふれた声。

 ケント兄さんでやんす。いつも以上の抱擁をあっしにしてくれたでやんすよ!


「……兄さん」

「これから大変かもしれない。けど、やっぱりすごいことだよ。君が大きく成長してたんだから!」

「……成長?」

「そうだよ。僕の相棒が成長したのは喜ばしいことだから!!」


 ケント兄さんは。

 本当に凄い御方でやんす。

 あっしを、ひと言もダメスライムと言わないでやんすから。

 進化出来たのは、兄さんのおかげなのに偉ぶったりされない。

 兄さんこそ、素晴らしい御方でやんすよ!


「……あっし。パン作りもでやんすけど、もっと強くなるでやんすよ! 足手まといも、利用もされたくないでやんす!!」

「うん! いっしょに強くなろう!」

「感動のところ悪いが、根本的な問題解決にはなっていないぞ」


 せっかくの時間でしたのに、お師匠はんの指摘で現実に戻されたでやんすぅ。


「「そうでした……」」

「まあ、ラティストだけでなくルカリア嬢とスインも居るがな。絶対という言葉はない。そもそも、しゃべるスライムだけでリオーネでは知られているんだ。既に狙っている輩が出てきておかしくない」

「……今までは」

「今までなくても、今後がないとは先程も似たように言っただろう? スインのこともこの前あったではないか? 報告はロイズから聞いている」

「だな。カウルは単純に獣魔扱いだが……時折、きな臭い噂は耳にしてる」

「……そうですか」


 狙われるのは、スインだけではない。

 あっし、さっき決めたようにもっともっとエンシェントスライムとして強くなるでやんすよ!!
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