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第569話 師匠の過去から
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さて、言い出したは良いものの。うまくいくかどうかはわからない。
しかし、ケントの所持魔導具となったスインは、獣魔のカウル以上に感受性豊かで可愛らしい子どもの魂を持つ。
外見はロボットAIのようにも見えるが、声は普通の子どものように感情がわかりやすいから、道具扱いがしにくい。
ケントはもちろん、私自身も何か手助けをしてやりたいと思う気持ちになった。なので、身体の一部である涙が入ったコップを持ち帰り……永久契約しているジェイドと睨めっこすることとなった。
「へぇ? 魔導具が涙?」
「感じるだろう? 特殊な魔力を」
「うん、ビシビシ感じる。水と風が特に強いね」
「大精霊にはそこまで把握出来るのか」
「僕は魔力の波長を分析するの得意だから」
ラティストも出来なくないそうだが、精密に分析出来るのはジェイドが上らしい。兄弟で創始の大精霊でも、得意分野は人間と同じようにあるそうだ。関わらなければわからなかったが、彼らも『個人』であるからそれはそうだと納得出来た。
「大前提にしなくていけないのは、『元素付与』などを封じる事だ。見栄を張ったつもりはないが、スインのショックから解放するためには解決しなくてはならん」
「協力するよ。ケントの守護の一部でしょう? 兄さんの主だから、断る理由もないし。君は僕の主だから命令してもいいのに」
「命令は基本的に好かないんだ」
前世でもそうだった。命令にいい思い出がない。親はどちらも毒親だったし、産んだ子どもとかも道具扱いしていた。
そのせいか、災いが降りかかったように自動車事故で還らぬ人間となった。私は自由となっても、他人とどう接していいかわからずに……親戚をたらい回しにされ、最後は突発性の病気で死んだ。
そこから転生を経て、私の今がある。兄弟らはどうなったかわからないが、私は今世の両親に恵まれたと思う。流行り病で死んではしまったが、慈しみ、愛してくれた。愛情を直に感じることが出来たのだ。だからこそ、今の自分の性格は前世よりはマシだとは思っているが。
さておき、他人へ『お願い』はともかく『命令』は基本的にしたくない性格は強いと自負している。
どうしてもの場合は、流石に判断はするがな。
「そっか。流石僕と永久契約した人間。ますます気に入ったよ」
「そうか?」
褒められた性格ではないと思ったが、ジェイドには好ましく映ったらしい。嬉しいと思うよりは複雑に感じた。
とりあえず、ポーションの構成は『封印』の組み立てから始めることにした。
薬品と薬品を合わせ、スインに涙を含ませて……そこから、ジェイドの調整の魔法を加えていく。これはレイアへのポーション作りから、少し応用して精製することで効能が飛躍的に上がったために……時折、共同作業しているのだ。
失敗は当然多いが、うまくいけば最高のエリクサー並みのポーションを作れるので、己のランクに見合った成果となる。
金はいくらでもあるが、レイアと結婚してより良い生活をしていく目標があれば、必要経費を惜しむつもりはないからな!
私の技術が他にも役立てれば、悲しむ存在も少なくなっていく。
擦れた性格をしていた前世や今世だったのに……随分と人間らしくなったものだ。
しかし、ケントの所持魔導具となったスインは、獣魔のカウル以上に感受性豊かで可愛らしい子どもの魂を持つ。
外見はロボットAIのようにも見えるが、声は普通の子どものように感情がわかりやすいから、道具扱いがしにくい。
ケントはもちろん、私自身も何か手助けをしてやりたいと思う気持ちになった。なので、身体の一部である涙が入ったコップを持ち帰り……永久契約しているジェイドと睨めっこすることとなった。
「へぇ? 魔導具が涙?」
「感じるだろう? 特殊な魔力を」
「うん、ビシビシ感じる。水と風が特に強いね」
「大精霊にはそこまで把握出来るのか」
「僕は魔力の波長を分析するの得意だから」
ラティストも出来なくないそうだが、精密に分析出来るのはジェイドが上らしい。兄弟で創始の大精霊でも、得意分野は人間と同じようにあるそうだ。関わらなければわからなかったが、彼らも『個人』であるからそれはそうだと納得出来た。
「大前提にしなくていけないのは、『元素付与』などを封じる事だ。見栄を張ったつもりはないが、スインのショックから解放するためには解決しなくてはならん」
「協力するよ。ケントの守護の一部でしょう? 兄さんの主だから、断る理由もないし。君は僕の主だから命令してもいいのに」
「命令は基本的に好かないんだ」
前世でもそうだった。命令にいい思い出がない。親はどちらも毒親だったし、産んだ子どもとかも道具扱いしていた。
そのせいか、災いが降りかかったように自動車事故で還らぬ人間となった。私は自由となっても、他人とどう接していいかわからずに……親戚をたらい回しにされ、最後は突発性の病気で死んだ。
そこから転生を経て、私の今がある。兄弟らはどうなったかわからないが、私は今世の両親に恵まれたと思う。流行り病で死んではしまったが、慈しみ、愛してくれた。愛情を直に感じることが出来たのだ。だからこそ、今の自分の性格は前世よりはマシだとは思っているが。
さておき、他人へ『お願い』はともかく『命令』は基本的にしたくない性格は強いと自負している。
どうしてもの場合は、流石に判断はするがな。
「そっか。流石僕と永久契約した人間。ますます気に入ったよ」
「そうか?」
褒められた性格ではないと思ったが、ジェイドには好ましく映ったらしい。嬉しいと思うよりは複雑に感じた。
とりあえず、ポーションの構成は『封印』の組み立てから始めることにした。
薬品と薬品を合わせ、スインに涙を含ませて……そこから、ジェイドの調整の魔法を加えていく。これはレイアへのポーション作りから、少し応用して精製することで効能が飛躍的に上がったために……時折、共同作業しているのだ。
失敗は当然多いが、うまくいけば最高のエリクサー並みのポーションを作れるので、己のランクに見合った成果となる。
金はいくらでもあるが、レイアと結婚してより良い生活をしていく目標があれば、必要経費を惜しむつもりはないからな!
私の技術が他にも役立てれば、悲しむ存在も少なくなっていく。
擦れた性格をしていた前世や今世だったのに……随分と人間らしくなったものだ。
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