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第525話 おねーさんとぼく
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ぼく、リト。
ケントししょーの弟子なんだ。
もうすぐ、学舎を卒業して……スバルのせーしきないちいんになれるんだー! うれしいな、うれしいなあ!!
(きょうは、お店行く日だし。がんばろー!)
まだまだちっちゃなことしかできないけど、おしごとができるのがうれしい! 火をつかうのもししょーたちの近くなら大丈夫って言ってもらえるから……僕のたんとーは、フレンチトーストが多いんだ。
にんきのしょーひんのひとつをまかされているんだよ! ぼくは神さまのおかげでししょーのようにポーションパンが作れるんだ。だから、フレンチトーストもちゃんとポーションパンになるんだよ!!
「えへへ~」
学舎がおやすみの日だけだけど、ちゃんとはたらけるのもうれしい。おかあさんはちょっとずつおなかが大きくなってきたから、送り迎えはルカリアおねーさんがしてくれるんだ~。
「おはようございます、リトくん」
「おはようございます!」
ルカリアおねーさんは、ポーションパンは作れないけどお店の『かんばんむすめさん』っておきゃくさんには言われているんだ。ししょーの子どもじゃなくて、ラティストししょーのお嫁さんなんだよ。まだちゃんとお式は挙げていないけど、いっしょに住んでるんだって。それとすっごくきれいでかわいいのに、ぼくのおとうさんより強いんだー。
「さ、行きましょうか? 今日もたくさんお仕事が待っていますわ」
「うん! がんばる!」
「朝ごはんは食べてきましたか?」
「うん。今日はくろっくむっしゅのれんしゅうしたんだー」
「ふふ。素晴らしいですわ」
ポーションパンになっちゃったけど、おかあさんたちもおいしいって言ってもらえた。ハムとチーズに、おかあさんが作ってくれた白いソースを挟んだだけなのに……甘くてしょっぱくておいしかった。また明日も作るんだー。
「ししょーに見てもらえたら、お店にも出してもらえるかな?」
「たくさん作って、店長の了解を得てからですわね。リトくんのことですから、すぐに合格点を貰えると思いますわ」
「うん!」
もっと大きくなったら、キジとかショーセイとかいろんなことが出来るだろうけど、今は今出来ることをがんばろう!
ぼくはまだまだ子どもだから、あせっちゃいけないんだ。
おねーさんの手をきゅっとにぎって、次のカドをまがろうとしたんだけど……おねーさんの前に大きな人が立って、いきなりおねーさんをなぐったんだ!?
ぼくはいきおいで地面にお尻をついた。
「ルカおねーさん!?」
「ぐっ!?」
手がはなれて、ぼくはおねーさんのほうに行こうとしたら、ふわっと体が浮かんだんだ!?
「へへ! 会話で油断してたな? この坊主はもらってくぜ!」
変なおじさんがぼくをだっこしてた!? なんかいやなことを言ってるのはわかったから、いやだ! ってジタバタしたけどぜんぜん逃げられない!?
「けほ。……たしかに油断しましたが、まだですわ!!」
「は?」
ルカリアおねーさんが顔を上げたあとに、おねーさんがきえて……おじさんがびっくりしてた。ぼくもびっくりしたけど、おじさんがガクンとゆれて……ぼくは落ちる!? と思ったら、ふんわりいい匂いのするところにだっこされたんだ。
「大丈夫ですわよ、リトくん!」
おねーさんが大丈夫だったので、よかったーと思うことができた! おねーさんにだっこされてからおじさんはどうしたんだろうと前を見たら、変なかっこうで地面にたおれてたんだ。おねーさんがやっつけたのかな?
「おい!? 大丈夫か!!」
びっくりしてたら、知っているおじさんの声が聞こえてきたんだ。あのおじさんの後ろから、かっこいいおじさんが来た。たしか、ししょーの大事なおともだち? 生産ギルドのマスターさんだったと思う。
「軽く小突かれましたが、大丈夫ですわ。ギルマス。リトくんを拐おうとしてましたの」
「……あれか? ケントのパンをダシにして、ルートを確保しようとしたのか」
「可能性が高いですわ。わたくしに見向きもしなかったのがいい証拠です」
「……よし。尋問とかはこっちに任せろ。治癒はいいのか?」
「ご安心を。一応手加減されていたので、これくらい時間が経てば快復しますの」
「……そーかい」
「おねーさん、すごーい! ぼくも強くなりたいなー」
「ふふ。日夜トレーニングからですわね」
「ほどほどにしとけよ」
でも、ちょっとおそくなったけど、お店には行けたからよかったー。
ケントししょーの弟子なんだ。
もうすぐ、学舎を卒業して……スバルのせーしきないちいんになれるんだー! うれしいな、うれしいなあ!!
(きょうは、お店行く日だし。がんばろー!)
まだまだちっちゃなことしかできないけど、おしごとができるのがうれしい! 火をつかうのもししょーたちの近くなら大丈夫って言ってもらえるから……僕のたんとーは、フレンチトーストが多いんだ。
にんきのしょーひんのひとつをまかされているんだよ! ぼくは神さまのおかげでししょーのようにポーションパンが作れるんだ。だから、フレンチトーストもちゃんとポーションパンになるんだよ!!
「えへへ~」
学舎がおやすみの日だけだけど、ちゃんとはたらけるのもうれしい。おかあさんはちょっとずつおなかが大きくなってきたから、送り迎えはルカリアおねーさんがしてくれるんだ~。
「おはようございます、リトくん」
「おはようございます!」
ルカリアおねーさんは、ポーションパンは作れないけどお店の『かんばんむすめさん』っておきゃくさんには言われているんだ。ししょーの子どもじゃなくて、ラティストししょーのお嫁さんなんだよ。まだちゃんとお式は挙げていないけど、いっしょに住んでるんだって。それとすっごくきれいでかわいいのに、ぼくのおとうさんより強いんだー。
「さ、行きましょうか? 今日もたくさんお仕事が待っていますわ」
「うん! がんばる!」
「朝ごはんは食べてきましたか?」
「うん。今日はくろっくむっしゅのれんしゅうしたんだー」
「ふふ。素晴らしいですわ」
ポーションパンになっちゃったけど、おかあさんたちもおいしいって言ってもらえた。ハムとチーズに、おかあさんが作ってくれた白いソースを挟んだだけなのに……甘くてしょっぱくておいしかった。また明日も作るんだー。
「ししょーに見てもらえたら、お店にも出してもらえるかな?」
「たくさん作って、店長の了解を得てからですわね。リトくんのことですから、すぐに合格点を貰えると思いますわ」
「うん!」
もっと大きくなったら、キジとかショーセイとかいろんなことが出来るだろうけど、今は今出来ることをがんばろう!
ぼくはまだまだ子どもだから、あせっちゃいけないんだ。
おねーさんの手をきゅっとにぎって、次のカドをまがろうとしたんだけど……おねーさんの前に大きな人が立って、いきなりおねーさんをなぐったんだ!?
ぼくはいきおいで地面にお尻をついた。
「ルカおねーさん!?」
「ぐっ!?」
手がはなれて、ぼくはおねーさんのほうに行こうとしたら、ふわっと体が浮かんだんだ!?
「へへ! 会話で油断してたな? この坊主はもらってくぜ!」
変なおじさんがぼくをだっこしてた!? なんかいやなことを言ってるのはわかったから、いやだ! ってジタバタしたけどぜんぜん逃げられない!?
「けほ。……たしかに油断しましたが、まだですわ!!」
「は?」
ルカリアおねーさんが顔を上げたあとに、おねーさんがきえて……おじさんがびっくりしてた。ぼくもびっくりしたけど、おじさんがガクンとゆれて……ぼくは落ちる!? と思ったら、ふんわりいい匂いのするところにだっこされたんだ。
「大丈夫ですわよ、リトくん!」
おねーさんが大丈夫だったので、よかったーと思うことができた! おねーさんにだっこされてからおじさんはどうしたんだろうと前を見たら、変なかっこうで地面にたおれてたんだ。おねーさんがやっつけたのかな?
「おい!? 大丈夫か!!」
びっくりしてたら、知っているおじさんの声が聞こえてきたんだ。あのおじさんの後ろから、かっこいいおじさんが来た。たしか、ししょーの大事なおともだち? 生産ギルドのマスターさんだったと思う。
「軽く小突かれましたが、大丈夫ですわ。ギルマス。リトくんを拐おうとしてましたの」
「……あれか? ケントのパンをダシにして、ルートを確保しようとしたのか」
「可能性が高いですわ。わたくしに見向きもしなかったのがいい証拠です」
「……よし。尋問とかはこっちに任せろ。治癒はいいのか?」
「ご安心を。一応手加減されていたので、これくらい時間が経てば快復しますの」
「……そーかい」
「おねーさん、すごーい! ぼくも強くなりたいなー」
「ふふ。日夜トレーニングからですわね」
「ほどほどにしとけよ」
でも、ちょっとおそくなったけど、お店には行けたからよかったー。
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