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第516話 心配されることが

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「へー? ほー?」


 エディとの相談窓口(?)が終わって、皆のところに戻ったんだけど……ラティストがなんかしちゃったらしい。悪い意味ではなく、いいこと……ぽいけど。魔法でお貴族様の何人かの記憶を消したんだって。

 その理由が。


「……ケントの方もだが、ルカを攫おうと考えてた阿呆がまだいたとはなあ?」


 エディはお怒りのようだ。僕の方は、殺すか何かを計画してた人が近づこうとしてたらしいけど、ルカリアちゃんの方は攫ってどーのこーのしようとしてたみたいだから……ラティスト、グッジョブ。気づいたのはお師匠さんだったらしいが。


「……僕にそんな価値ある? っで!」


 ルカリアちゃんはともかく、僕はランクを除けばへーへーボンボンなのにと思っていると、エディに軽く小突かれた。ちょっと痛い。


「あのなあ? ポーションパンを作れる祖と言ってもいいんだぞ? もうちょい自覚持て!! んでもって、俺のマブダチだと気に食わん輩も出てきたんだろうな」

「……そう言うこと?」

「そーゆーこと。ラティストが大袈裟なくらいに選別してくれたんなら、ちょっとの間は連中も大人しくしてくれてるだろ。……次は逃がさんがな」

「エディ、怖い怖い」


 王様としてのバージョンアップしていく感じを目の当たりにしていく感じだから……めちゃくちゃ怖い。この人は、本当に怒らせちゃいけないと理解出来ました。


「まあ、わたくしをですの? むしろ返り討ちにしてくださいますわ」


 それとは別に、ルカリアちゃんも物騒なこと言ってる!? 可愛い見た目だけど、この子武闘派だったからね……僕なんかよりもずっと強いのは、スバルで運搬の時に力作業を積極的にこなしてくれることで知ってます。

 冷めた天板も数枚ひょいと持てるくらいだもん。


「……ルカリアの手は煩わせない。俺がやる」

「まあ、大丈夫ですわよ? ラティスト様」

「……お前の手を汚すことはさせたくない」

「うふふ」


 美男美女カップルが物騒なこと言っているんだけど……もうスルーしとこう。万が一があっても対応出来そうだし。


「兄さんを蹴落とす? あっしが成敗するでやんすよ!」


 そして、カウルは僕の方への対応を自分も参加したいと意気込んでました。触手をバットのように振るんだけど……申し訳ないが可愛く見えちゃう!!


「ありがとう、カウル。心強いよ」

「あっしは、兄さんの獣魔でやんすから!」

「……ありがとう」


 こんなにも心配してくれてる人達がいて、僕は幸せ者だなあ。前世でも全くそうじゃなかったけどね?

 とりあえず、お貴族様問題はこれからも付きまとうだろうから……気をつけなくちゃいけない。

 今回は、手を出される一歩手前で済んでよかったけど……犯罪ってどこの世界でもあるんだなあ。
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