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第472話 他のパン屋は②
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ずかずかと入ってきたと思えば、俺に差し出してきたのはパン屋の紙袋。しかも、刻印はスバルのパン屋のものだった。
「……ミハイム、これ」
「とりあえず、食べて」
「けど……」
「た・べ・て!」
「あ、ああ……」
強く言われたので、仕方なく中身を出したのだが……出てきたのは、チーズを使った大ぶりの塊みたいなパンだった。
腹が空いていたわけでもないのに、出てきたパンの香りが口の中で唾を生み出し……気づいたら、かぶりついていた!
パンはチーズだけでなく、燻製肉を刻んだものや少しシャキッとした食感を残した玉ねぎまで入っていた。ひと口食べると、具材以外にマヨネーズのまろやかな味わいも合わさって……大きなパンだったのに、あっという間に食べ終えてしまうくらいの美味さ。
さらに、途中で体が光ったことから……ポーションの効能もあとからやってきて、なぜか体がすっきりした気分になれた。
「……元気出た?」
ミハイムは、俺の事情をどこから聞いたのだろうかと言うのは……わざわざ聞く必要はない。
俺を思って、このパンを買ってきてくれた礼を言うのが先だ。
「……ああ、ありがとう」
「全く。がむしゃらにパン作りを追求し過ぎても……君とケント君とじゃ、作るパンが全然違うんだから。変な競争意識持ってもダメだよ?」
「そうかもしれないが」
こいつは、たしか去年の暮れにあの店主から美味くて美しいケーキの提案をされたことで、今では前以上にケーキ屋が繁盛している。
あちこちのパン屋が店をたたむ中、何とか残っている俺とは違うんだ。だけど、幼馴染みとして……わざわざあそこのパンを買ってくるくらい心配をかけてしまっていた。
改めて今食べたが……ポーションの効果だけでなく、めちゃくちゃ美味かった。これが、潮時かと俺自身納得するくらい。
やはり、親父には悪いが店を閉めようかと考えていたら、ミハイムに脳天めがけてげんこつをお見舞いされた!?
「だから! ケント君と君は全然違うんだから!! 親父さんのパンを今まで通りに作るのも、悪いことじゃないんだよ!」
「……痛い」
「わざと痛くしたんだから。……けど、ここまで悩んでいるんなら僕だけの手助けじゃダメか。いっそ、ケント君にアドバイスもらいにいく?」
「!? なぜ」
「あの子はね。誰かのために、手を差し伸べるのは厭わない性格なんだよ。サファや他のパン屋のことは聞いているかもね。行くだけ行ってみようよ。君とケント君はきっといいライバルになる」
「……本当か?」
下手な嘘を言わないやつだが……あのポーションパンを食べたおかげか、奥底に眠っていた『やる気』が少しずつ戻ってくるような感じな今なら。
なんだって、出来るような気がしたんだ。
「……ミハイム、これ」
「とりあえず、食べて」
「けど……」
「た・べ・て!」
「あ、ああ……」
強く言われたので、仕方なく中身を出したのだが……出てきたのは、チーズを使った大ぶりの塊みたいなパンだった。
腹が空いていたわけでもないのに、出てきたパンの香りが口の中で唾を生み出し……気づいたら、かぶりついていた!
パンはチーズだけでなく、燻製肉を刻んだものや少しシャキッとした食感を残した玉ねぎまで入っていた。ひと口食べると、具材以外にマヨネーズのまろやかな味わいも合わさって……大きなパンだったのに、あっという間に食べ終えてしまうくらいの美味さ。
さらに、途中で体が光ったことから……ポーションの効能もあとからやってきて、なぜか体がすっきりした気分になれた。
「……元気出た?」
ミハイムは、俺の事情をどこから聞いたのだろうかと言うのは……わざわざ聞く必要はない。
俺を思って、このパンを買ってきてくれた礼を言うのが先だ。
「……ああ、ありがとう」
「全く。がむしゃらにパン作りを追求し過ぎても……君とケント君とじゃ、作るパンが全然違うんだから。変な競争意識持ってもダメだよ?」
「そうかもしれないが」
こいつは、たしか去年の暮れにあの店主から美味くて美しいケーキの提案をされたことで、今では前以上にケーキ屋が繁盛している。
あちこちのパン屋が店をたたむ中、何とか残っている俺とは違うんだ。だけど、幼馴染みとして……わざわざあそこのパンを買ってくるくらい心配をかけてしまっていた。
改めて今食べたが……ポーションの効果だけでなく、めちゃくちゃ美味かった。これが、潮時かと俺自身納得するくらい。
やはり、親父には悪いが店を閉めようかと考えていたら、ミハイムに脳天めがけてげんこつをお見舞いされた!?
「だから! ケント君と君は全然違うんだから!! 親父さんのパンを今まで通りに作るのも、悪いことじゃないんだよ!」
「……痛い」
「わざと痛くしたんだから。……けど、ここまで悩んでいるんなら僕だけの手助けじゃダメか。いっそ、ケント君にアドバイスもらいにいく?」
「!? なぜ」
「あの子はね。誰かのために、手を差し伸べるのは厭わない性格なんだよ。サファや他のパン屋のことは聞いているかもね。行くだけ行ってみようよ。君とケント君はきっといいライバルになる」
「……本当か?」
下手な嘘を言わないやつだが……あのポーションパンを食べたおかげか、奥底に眠っていた『やる気』が少しずつ戻ってくるような感じな今なら。
なんだって、出来るような気がしたんだ。
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