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第399話 願望の中で

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 ああ……ああ。

 わたくしは、とうとう。

 夢を見てしまったのですわ。

 愛しい愛しい……ラティスト様のお口から、あのような……あのような!?


(お……お誘いの御言葉を賜ったなど、夢なのですわぁああ!!?)


 目を閉じることで、はっきりとわかりますわ。あれは、正夢ではありません。わたくしの描いた願望であると。

 ただ、目覚める傾向が一向にありませんが……わたくしは、どこに居たのでしょう?

 夢でしたら、スバルに居たはずがありません。

 屋敷ではラティスト様にお会い出来ません。

 では、わたくしは……何を?

 何を……求めに、あちこちを移動していたのでしょうか?

 少しずつ……頭が動かなくなってきましたわ。


『……なら、オイラにちょうだい』


 嫌な声音が響いてきましたわ。

 わたくしが、そちらに振り返ると……赤黒く、気味の悪い精霊か何かがケタケタと笑っていました。


「何者ですの!?」

『けけけ。創始の大精霊に気に入られている人間……面白いねぇ? 価値が高そうだ、その魂!!』


 手が伸び、避けたり迎撃をしようにもわたくしは動けずに。

 ただただ……覆われていくのを見ていることしか出来ませんでしたわ。
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