スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第385話 師匠も知る

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 なんと言うことだ。


「……本当か? ロイズ」

「マジもマジの大マジ」


 魔法蝶にて、『ちょっとそっちに行く』との通達があったもので……まあ、最近リア充になった幼馴染みのロイズを招き入れたのだが。

 聞かされた内容が、我が弟子のケントに関するものだったが……驚き以上にど肝を抜かれたものだった!?


「子どもに……特殊なスキルだとぉ!?」

「俺の鑑定眼鏡にもステータスが出た。実際製造出来たし、ポーションパンを作れるのはケントに加えてリトって奴が出来たってとこだ」

「……私とて出来ないのに」

「お前さんは、今までのポーションで充分信頼されているだろう?」

「複数の効能は、そこまで出来んぞ!?」


 あのイケメン神めぇ。

 私には鑑定のスキルを付与させた以外、特に動きもなかったのに……何故私ではなく、そんな子どもに付与させたんだ?

 単純に若い人材での育成を兼ねてか?

 聞くに、リトという少年は学舎を卒業する年頃……八歳だぞ? 英才教育するなら、たしかに適任ではなくもないが。

 よく、ケントもだが弟子として承認したな? まあ、ひとりじゃなくラティストらが居るから大丈夫だと思ったのだろう。


「まあ。いきなり、その規格外を叩き出したが」

「……S級になったとは言え、私必要あるか?」

「あるだろ? お前さんのは、最近味改良してから雇用客増えたじゃねぇか?」

「……まあな」


 レイアのことがきっかけで、私自身は元来のポーションに『味』をつけた。

 飲みにくいが基本だったポーション……薬へ、甘みや酸味のある飲み物へと改良することを研究し出したのだ。これは、ほとんどレイアのためだ。目の呪いは消え去ったが、いつ何時……似たことが起きるかはわからない異世界だ。

 犯罪手口は、下手すると日本よりえぐいファンタジー世界。

 ケント自身は食べ物として実現できても、『食材』だから固有の亜空間収納の魔法がないと腐敗しやすい欠点がある。

 だから、元からあるポーションは腐敗進行が遅いので、まだまだ上流貴族などは私への依頼を減らしたりはしない。

 と言うことで、少しずつだが味改良をしたわけである。

 おかげさまで、噂を聞きつけて貴族の一部から新たな顧客を得たのだ。

 イシュラリア伯爵からのルートを通じて、その幅も増えた。だから、近いうちに仕事が落ち着いたし……レイアとデートに行くつもりだ。そろそろそれくらいしても良いはず……だ。


「けど、ケントに弟子が出来るっつーことはだが」


 ロイズは、ジェイドが淹れてくれた茶をひと息で飲み、大きくため息を吐いた。その意味は、幼馴染みとしてすぐに察せた。


「……まだ子どもだが、私やケントが異世界からの転生者だと言う事情を、伝えることか」

「それにラティストらのこともだ」

「……頭が痛いな」

「素直な性格だが……吹聴しないようにも言い聞かせてやらなきゃな」


 秘密の一部である、ケントの固有スキル『オープンキッチン』はリトの両親にも知られたが。

 物分かりの良い人間なので、そこは口止めさせているらしい。しかし、それでも人間に完璧はそうそう存在しない。

 陛下も『エディ』としていらしてたそうだから……対策は考えているだろうな?
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