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第382話 早とちり

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「「リト!!」」


 僕が扉を開けたら、すぐにリトくんのご両親が駆け込みそうになりながら入ってきたので……僕はドンってぶつかって、床に尻もち……つきそうになったら、エディがキャッチしてくれた。


「落ち着きなって、あんたら」


 エディがそう言うと、リトくんのご両親もハッとなって僕を見てくれた。僕にぶつかったことも自覚してなかったみたいだ。


「「す、すみません!!」」

「ケントに怪我ないならいいけど。……あんたら、リトの親?」

「「はい……」」

「え? おとうさんにおかあさん?」


 フレンチトーストを焼き終えたらしいリトくんがこっちに来ると、僕は慌てて彼の前に立った。


「待って、リトくん!」

「……ししょー?」

「「師匠?」」

「……なんだ、ケント? お前さん、リトを弟子にしたのか?」


 ご両親の後ろからロイズさんが出てきたので、僕はまだ決定事項じゃないから首を横に振った。


「いいえ。まだです。呼び方はエディが提案しただけですけど……リトくんの可能性をここだけにとどめておくわけにはいかないですから。今日は、お試しで体験教室をしているんです」

「ほー? お前さんらしい考え方だな」


 ロイズさんが、ゆっくりリトくんの前で屈んだ。

 そして、拳を握ると軽く頭を小突いたのです。


「え?」

「お前さんなあ? 親に何も言わずに家出るなよ。特に今日とかは祝典日の次の日だぜ? 誘拐騒ぎとか出てもおかしくねぇし、めちゃくちゃ心配してたんだぞ?」

「……あれ?」

「ん?」


 ここで、リトくんは不思議そうにご両親の方を見て、


「……お手紙、置いてきたけど」

「「え?」」


 ご両親は、リトくんの書き置きに全く気づいていなかった様子だ。記憶を辿る仕草はしていたが、見た覚えはなかったみたい。


「おいおい。リトはちゃんとした行動の上でここに来たってことだろう? お前さんらの早とちりだったってことか?」

「「……すみません」」

「……ごめんなさい」


 ご両親もだけど、リトくんもきちんと謝っていた。下手な騒ぎになる前に、ここに辿り着いてくれてよかったよ。エディ曰く、魔法蝶に似せた魔法をラティストが放ってくれたおかげで来てくれたんだとか。

 ラティストに目配せすると、ちょっと安心したようなため息を吐いてた。


「ま。勘違いが解決したとこで、だが」


 まとめ役になったロイズさんが、手を叩いてからくんくんと鼻を動かした。多分だけど、オープンキッチン内に広がるフレンチトーストの甘い匂いだね。

 ここで一個気づいたことが。ロイズさんはともかく、リトくんのご両親に……オープンキッチンを見せてしまっていた。ご両親は、匂いの後に部屋を見て……特にお母さんの方が目を丸くしていたんだ。
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