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第348話 どう渡そう

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「美味しいです!」


 ポーション効果はともかく、今回の目的はエディへの誕生日プレゼントへの試作だから……参加してくれた皆さんには食べていただくつもりだった。

 それぞれが好きな味のオムレットを手に取り、特に男性陣は勢い良く食べたから口周りがクリームだらけだ。それも醍醐味のひとつだけどね?


「うん、うめぇ!」

「甘味ががつんとくるが、生地がしっとりしてるからちょうどいいな?」


 ジェフさん達にも喜んでいただけてなにより。ポーション効果で体が光るのは、僕らには見慣れた光景だから誰も何も言わないよ。でも、怪我でもしてたのかな?


「……美味しいです。いつものフルーツサンドとかももちろん美味しいんですけど、これ……ほとんどケーキみたい」

「けど、ポーションとしても使えるのね? ケント、どんな効果だったの??」


 女性二人にも喜んでもらえてよかったけど、エリーちゃんに聞かれたので仕方なくステータスに出た内容を紙に書き出したら……。


「「「ヤバくね?」」」

「「これは……」」

「簡単に店にもオークションにも出せないですよね……」


 耐性って効能は、多分初めてじゃないかなあ? ちらっと、ラティストを見ると目をつむってじっとしてたから……多分文句言いに行ってるんだろうなあ。憐れ、イケメン神様。


「まあ。逆を言えば、あいつには最高の品じゃねぇか?」


 レイザーさんがそう言うのは、エディの立場のことがあるからだろう。レイザーさんもいずれはだけど、エディは既に国王様だから。僕がお城に行った時のように、エディを殺そうと言う貴族さん達は多いらしいからね? あれからは、捕まったとかで減ったかもしれないけど……まだまだ油断は出来ないと思う。それの役に立てば、僕も嬉しいけど。


「これ、どうやって渡しに行けばいいでしょうか?」


 前にお城へ行けたのは、エディが誘導してくれた魔法陣での瞬間移動だったし。僕単独でお城に行けたわけじゃない。エディがリオーネに来れるのも、その逆の手段で来れているだろうから……魔法蝶でのやり取りは、それ自体が移動するお手紙だからね。なので、出来上がったオムレットを収納魔法に入れておくことは出来ても、肝心の本人にどう渡せばいいのやら。


「あー……そうだな? 式典中はさすがに身動き取れないだろうし」

「レイザー。その言い方だと、あの陛下がこっちに来るって感じか?」

「ケントのダチだろ? なら、式典終わってからは来れるんじゃね?」

「ほぼ確定か……」

「あの破天荒野郎の考えそうなことだろ?」

「「「「「…………」」」」」

「……なんだよ」


 僕らは、全員同じことを考えたと思う。

 将来国王様になるこの人自身も、十分に破天荒まっしぐらの道を歩んでいるだろうって!
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