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第337話 特別な存在

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「って言うのが、人間達には伝わっているだいたいの創世神話」


 ざっくり簡単に、ジェイドは僕にこの世界の神話を教えてくれました。

 ラティストがどう言う存在で生まれたのとか、世界の成り立ちについてとか……本当に簡単な説明でだけど。


「それで、ラティストの名前は特に人間に伝わっているってこと?」

「僕とか、他の創始の大精霊よりはね。焔もだけど、闇がないと人間は生きていけないでしょう?」

「んー、そうだね」


 火は人間が生きていく上では大事なものだし、闇は夜の眠りを思うと必要不可欠なものだ。それを司っているラティストは、僕は神秘的と言うか『綺麗なお兄さん』でしか見えないけどね?

 表情の変化は少ないけど、大喰らいの精霊さんって部分しかよく知らない。まさか、お酒がここまで弱いのも意外過ぎたけど。


「兄さんが里にいなかった時期は大変だったよー? 二十年は人間には長い時間だったから、僕らも他の精霊で補うのが精一杯だったし」

「……なんでレイスに取り込まれていたんだろうね?」

「……なんでだろうね?」


 ジェイドに聞いても、その理由はわかんないみたいだ。まだ一年は経っていないけど、カウルもラティストもずっと一緒なのに知らないことが多い。僕も転生させられて色々あったし……それぞれ色々あったんだ。下手に詮索するのは、家族でもよくない。


「ところで、ジェイド。今日は何しに来たの? お師匠さんからのお遣い?」

「あ、そうそう。ヴィンクスはいつものだけど、僕はチーズバーガーがいいなあ」

「わかった。今日はこんな日だし、他のもいっぱい持ってって?」

「やった!」


 収納魔法で保管は大丈夫でも、たくさんあったら消費が追いつかないからね? いくつか出して、ジェイドの亜空間収納に入れてもらっている時に……ちょっと思い出したことが出来たけど。


「ねぇ、ジェイド」

「なに?」

「ラティストのこの状態……魔法よりポーションパンの方が効果あるかな?」

「あ」


 今更だけど、僕のポーションパンは食べるだけで効果を発揮するわけではない。ラティストと最初に出会ったレイスの場合もだし……レイザーさんの呪いもそうだった。であれば、今回のも大丈夫なはずでは?

 ジェイドも首を縦に振ってくれたので、床のカーペットの上にパンを並べに並べまくって……お互いの鑑定スキルを使いまくり、まずは探すことから始めました!
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