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第333話 酔っ払い大精霊

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 に、兄さんが。

 ラティスト兄さんが!?

 おかしいでやんすよ!?

 顔真っ赤で……さらに言うなれば、色っぽい?

 そんな表情で、クロワッサンを最後まで食べたら……ポヤポヤ笑顔にもなってしまって。動かないでやんす。今、あっしもケン兄さんも同じものを食べただけでやんすよ?

 なにもおかしなことはしてないでやんすよ??


「……ら、ラティスト?」


 ケン兄さんが声をかけても……ラティスト兄さんは、ニコーって微笑みを浮かべるだけ。いつもの無表情かつ圧の強いものじゃないでやんすよ!? これは……ケン兄さんに聞いていた群がる女どもにとってはチャンスでしかないですやん。

 あっしらの前だけでよかったでやんすよ!?

 とはいえ、冷静に考えてこの事態は……。


「兄さん兄さん」

「……んー?」


 あっしが近づいて、触手でぽんぽんしても特に笑顔を崩さない。どころか、普段はケン兄さんにしかしてもらえない身体への触れ合いがあったでやんす。なでなでしてもらえたでやんすよ?!

 これは、やはり。


「……ラティスト兄さん、酔ってるんじゃ?」

「……やっぱり?」


 ケン兄さんも察しがついていたのか、苦笑いでやんしたよ。


「冷たくて気持ちがいい……」


 しまいには、ラティスト兄さんはあっしを抱えたでやんす。普段は絶対このような触れ合いがないので、びっくりしたでやんすけど……近くで見ても大精霊様の美貌は衰えやせんね。むしろ、増していると言うか。


「ラティストのイメージだと、強いと思ってたのになあ」

「見かけによらずでやんすねぇ?」

「おーい、ケント~?」


 とここで、兄さんの弟様であるジェイド兄さんが来たでやんす。兄さんにも、呼び方は同じで良いと許可をもらってるので大丈夫でやんす。

 兄さんは壁をすり抜けて、オープンキッチンの中に入ってきたでやんすが。


「ちょうどよかった。ジェイド、ラティストがさー?」


 ケン兄さんが説明しようとすると、ジェイド兄さんはあっしを抱えているラティスト兄さんを目を丸くしたでやんすよ。


「……ケント。兄さんに酒飲ませたの?」


 この事態をよくご存知の発言をしてくれたでやんすー。


「ううん。正確には、試作のパン食べただけ。強めのお酒と砂糖を混ぜたシロップ塗ったやつをね。アルコール飛ばしてないから、多分こんな感じになったと思うんだけど」

「あー……兄さん。めちゃくちゃ酒弱いんだよ」

「意外だねー?」

「ここまで解放的なのは、ケントらの前だからだろうけど」

「なるほど。お水飲ませばいいかな?」

「いや、すぐに」


 ジェイド兄さんが何かを言いかけると……ラティスト兄さんはあっしを抱えたまま寝てしまったでやんす!? 重みも感じるでやんすけど、いい匂いするでやんすよ!?


「兄さんら、あっしは!?」

「あー……カウル。しばらく枕がわりになってて」

「無理に外すの怖そうだしね?」

「そうそう。無意識で魔法ぶっ放すとかあるから」

「そんなぁああああ!?」


 この苦行に耐えろとぉおおおお!!?
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