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第278話 脳内大混乱

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 わからん。

 この坊主……てんで、わからん!?

 ヴィーが認めた弟子と言うこと。

 唯一、作ることの出来る『ポーションパン』のことも。

 さらには、エリシオン陛下が勲章を与えただけでなく……『マブダチ』と認定されとる!?

 ちょい細っこい、女にも見えなくない坊主。

 もっと言うと、ヴィーと同じく創始の大精霊を使役しとる!?

 めちゃくちゃ意味わからんわ!?

 錬金術師かと思えば、普段はほとんどパン職人。

 なのに、作れるパンはすべてポーション!?

 俺は鍛治師やけど……真贋の瞳を持ってもステータスの閲覧が出来んときた!!

 なんなん、この坊主!?

 調理法も、ヒーディアと比較したら異質のもんと違うのをスラスラ言えるし!?


「なんなん!? 豆をペーストってなんなん!!?」

「美味しいですよー? パンともよく合いますし」

「……そないに??」


 俺の焦り顔見ても……ケントはニッコニコのまんまやったわ。俺の職業とかなんやかんや知っても、平然としとる。陛下がマブダチって認めるだけ、根性あるわ。


「すぐに作れませんけど……白いのだったり、緑とか出来ますね?」

「……ほーん」


 色合いはともかく……美味いとわかると興味出るわぁ。

 さっき食わせてもらった、パンもかなり美味かった。単純なパン屋のもんより数倍。

 そりゃ、効能もやけど……味の良いパンとくれば、国内外で騒がれるわ。腐った貴族連中らも狙ってたんを……エリシオン陛下の画策で、結構な改革がされらからなあ?

 俺とかの鍛治関連の仕事も、随分と楽になった。

 それだけ……この坊主は、王族の心を動かしたんや。

 ただのほえほえぽわんな坊主とちゃう。

 ヴィーのくせに、とんでもない奴を弟子にしたわ。


「それは店頭で売るのか?」

「まだ試作してないので。効能次第ですが、多分大丈夫です。小豆の方は、オークションで扱うかと」

「こしあんのあんぱん食べたい! 金はきちんと支払うから」

「了解しました」


 と思ったが、見とったら師弟関係逆やないか?

 餌付けされまくっとる感じあるし。


「……なんなん? こしあんって」

「手間がかかるんですが、豆の皮無しのあんこのことです。舌触りがとってもいいんですよ」

「……ほーん?」


 わざわざ……皮を取り除く?

 皮は食感がいやな奴らも居るけど……わざわざ?

 どんな味なのか……先に豆のパン食ったけど、味の想像がつかん。


「美味いでやんすよねぇ。こしあん」


 俺以上に、変わった口調の男の声がしたわ。

 そっちを向けば、ケントの恋人だと紹介された……エリーって嬢ちゃんと抱えられたスライムがおった。


(え? 今こいつしゃべった!?)


 しゃべるスライムだなんて……めちゃくちゃレアやでぇ!?


「……ワレぇ、今しゃべったん?」

「あっしのことでやんすか?」


 念話でもなんもない!?

 普通にしゃべっとるやんけぇ!?


「お……!? ケント、ワレいったいなんなん!?」

「カウルとは、森で出会ったんですよ? はぐれさせられたスライムだったらしく」

「あっしの固有スキルが……他のスライムには嫌われてたでやんす」

「それなんなん?」

「発酵でやんす」

「……はっこう?」


 どーゆースキルかさっぱりやったわ。
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