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第270話 甘納豆②

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 豆が甘いでやんすか?

 ケン兄さんの料理は……ほとんどが異世界の知識。

 あっしは、ケン兄さんと出会うまで……嫌われ、はぐれスライムでやんしたが。

 ケン兄さんと出会って、ラティスト兄さんも一緒に過ごして。

 毎日が楽しいでやんす!!

 いろんなポーションパンを、兄さん達と作れるでやんすから!! その毎日が新しい知識を知る日々ばかり。

 だから……常識を覆す程度で驚いてはいけないでやんす。あんこを筆頭に、甘い豆が美味しいことを知ったでやんすから!!

 ケン兄さんに渡された……砂糖を最後にまぶした緑の豆を見てたでやんすけど。


(綺麗でやんすぅ!!)


 宝石とまではいかないでやんすけど……とっても綺麗な緑色。

 ジェイド兄さんの目のようでやんすねぇ?

 あっしの水色は今回の豆の色にはないでやんすから。市場では一応あったでやんすけど。


『食欲落ちない?』


 って、ケン兄さんが言うんでやめたでやんすよ。あっしはスライムなんで、基本雑食でやんすからなんでも食べれるでやんすけど。

 とりあえず、口に入れてみると。

 ほくっとした食感が!?


「美味いでやんすぅ!!」


 声に出してしまうくらい、美味いでやんす!!

 甘いだけでなく、ほっくりしてて……けど、豆の味もたしかにして。

 乾いた豆だけを食べるより美味いでやんすよぉ!!


「ほんと!! おいしっ!!」

「……アズキもいいが、他でも出来るのだな?」


 ラティスト兄さんがもっと食べたい顔になったでやんすよ? すかさず、ケン兄さんが『ダメ』と注意したでやんす!


「豆を甘く煮るのは、僕とお師匠さんがいた国の独自の慣習だからね? あんこも小豆以外に、白い豆とか枝豆でも出来るよ?」

「! 枝豆も甘くするの!?」

「それを飲み物にしたりとか」

「えぇ!?」


 エリー姐さんも驚くのも無理ないでやんす。

 あっしも……流石に飲み物には驚いたでやんすよ?

 どんな……飲み物でやんすか? あんこの飲み物??


「ま。今日は飲み物は出来ないから……あとは似た感じで小豆と金時豆ぽいのも同じようにして」


 出来上がったアマナットウは、どれも美味しいでやんしたけど。

 これをどうやってパンにするかと思いきや。

 生地につぶさないように混ぜていやした!?


「ケン兄さん、どう焼くんでやんすか?」

「四角い小さな食パンにするんだよ」


 イメージがうまく出来ないでやんしたけど……あっしが変身して、ドウコンに鉄板を入れる前にわかったでやんす!!

 本当に四角い……フタ付きの型!!

 その中に丸めた生地を入れたでやんす!!

 発酵が終わったら……それをオーブンに変身したあっしの中で焼けば!!


(堪らんでやんすぅ!!)


 直に匂いがわかるあっしは!

 香ばしくて、甘い匂いの虜になってたでやんすよぉ!!
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