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第261話 ケントの攻撃手段

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 ケントの……実力か。

 たしかに……契約してからは、披露されたことがない。

 と言うよりも……魔法そのものの概念を持っていなかったな?

 種火程度の……小さな魔法を使えるようになっただけでも、ケントは非常に喜んでいた。

創始の大精霊』と契約しているのに……えらぶったり、何もしようとしない。

 ただただ……俺を『存在』として接してくれるだけだ。人間のように。精霊だから、体調を崩すことはほとんどないのに……休憩もくれる。食事も当たり前に。

 そのためか、俺が魔法で作業を短縮するのも……特に頼ろうとしなかった。

 使役しているのであれば、カウルも筆頭だが……カウルにも無理を強いらない。

 だから……収納魔法以外の、ケントの魔法適性を俺は知らないのだ。

 それ以外に……ケントの特技としているのは。

 俺も初回、相当驚いたのだが……ボールで攻撃する方法だ。あの威力には……底がわからない。

 あれでも、ケントはだいぶ加減していたようだが。


「ボール? 的……ケントのは投擲か?」

「違いますよ、お師匠さん。バレーボールのサーブです」

「君はバレー部だったのか?」

「ピンチサーバーだけですよ」


 よくわからない言葉だが……この二人は、異世界からの転生者だ。その記憶を頼りに……様々な回復薬を可能にしてきた。ケントの場合は、パンにすることで充分に凄いのだが。

 ケントは、あの特殊な構えをした後……ボールを持つのとは、反対の手で……思いっきりボールを飛ばした!

 それが物凄い速さで的に向かい……矢で射ったかのように、的を勢いよく破壊したのだ!?


「「「「へ?」」」」

「は?」

「……これは」


 ケントも含め、各々反応は様々だが……まさか、あの威力とは。

 ボールが硬度の高いものであれば……相手を殺しかねない。ケントにそのようなことはさせたくない!!


「あ、アンダー? サーブであの威力!?」

「凄い凄い!! ケントすごーい!!」

「ケン兄さん、凄いでやんすよー!!」

「見事ですな!」

「……本気出してないんですけど?」

「もっかいやってくれ!! ケント!!」

「……どっかボール飛んでくで済まないと思うけど!?」

「んじゃ、結界はるか?」

「俺がやろう……」


 ケントが酷く心配するのであれば、契約精霊として……俺が代わりにするまで。

 しかし……なのだが。

 かなり、硬度のある闇属性の結界ですら。

 的を突き抜けた、ケントのボールがめり込んでしまったのだった。


「うわぁあ!? 僕何が起きてんの!?」


 ここまでの威力……考えられるとすれば。

 あの馬鹿神の加護が与えられたせいだろうな?
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