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第204話 お見舞い騒動

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 魔法蝶の連絡も無しにやって来ることは、いつものことだけど。

 彼以外にも……どうやら、お客さんが来ていることには驚いた。


「ケントさん、風邪ですか?」


 トラディスさんもだけど、『シリウスの風』全員が来てくれたんだよね?


「大丈夫かぁ?」

「はい、なんとか」


 レイザーさんも心配してくれるようで、頭をぽんぽんと撫でてくれた。ちょっと安心することが出来たよ。

 季節の変わり目とは言え、皆さんは元気のようだし。


「まあ、顔色はそんな悪くないようだが」

「そーだな? ケントは働き過ぎだし、疲れも出たんじゃないか?」


 歳上おふたりに言われるくらい……僕はどうやら働き過ぎみたい。元の日本人感覚でいたからかな? ちゃんと週休2日にはしているんだけどね?


「ケント、大丈夫か?」


 エディは、僕の体調不良を本当に心配してくれているようだ。いつもの、テンションハイな元気さはない。


「……うん。大丈夫。レイザーさん達が言うように、疲れからかも」

「無茶すんなよ?」

「うん」


 異世界に転生したとは言え、ラティスト達以外にも頼れる人達がいるのは嬉しい。


「けど、あれか? エリーに告白出来ないから悩んでたわけじゃねぇよな?」

「え、エディ!?」


 なんで君とかにしか言ってない相談事を皆さんの前で!?

 だけど……皆さんは全然驚いていないのか、逆に『うんうん』と頷いちゃった?


「あり得るなあ?」

「ケントだかんな?」

「ケントさんなら考え過ぎるだろうし」

「どうなんですか、ケントさん!」


 これはもしや……打ち上げの時にバレてしまった?


「ケン兄さん、皆さん気づいていたでやんすよ?」

「俺達も、聞かれたが」

「答えないでよ、ラティスト!?」


 ぼ、僕の恋心……ダダ漏れだった!?

 めちゃくちゃ恥ずかしいよ!!

 思わず、お布団に顔をうずめると……エディらしい笑い声が聞こえてきて、頭もぽんぽんされた。


「だーいじょうぶだって! 味方が多い方がいいだろ?」

「……僕って、そんなわかりやすい?」

「隠し事苦手だろ?」

「……うぅ」


 たしかに、エディが言うように隠し事は苦手だけど。

 もし、エリーちゃんにも僕の気持ちがバレていたらどうしよう。

 それがわかった上で……僕に会いに来てくれないのかな?


「んで、俺らは君の手助けをしようと思ったわけ」

「……手助け?」


 何を? と顔を上げれば……めちゃくちゃいい笑顔のエディと目が合った。


「……エリーとデート、アーンド! 告白計画だ!」

「なんでそんなこと!? げっほげほ!!」


 いきなり変な事言われたから、思いっきり咳しちゃったじゃないかぁ!!?
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