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第186話 使役した精霊は

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 どーゆーことなのだ!?


「……君の、フルネームは?」


 ひとまず……それを聞かないと、自分の中で断定出来ん!!


「ん? ジェイド=イシュト=ガージェンだけど?」


 さらっと名乗ってくれたが……たしかに、ラティストと同じファミリーネームだ。顔もどことなく似ている……性格は真逆のようだが、声も少しばかり似ていた。

 と言うことは、これは確定事項であると言うこと!


「……そうか。私はヴィンクス=エヴァンスだ。君が先ほど言った通り、ケントの師でもある」

「しっかし、凄いねぇ? 僕みたいなのを呼び寄せられるだなんて」

「……私だって、めちゃくちゃ驚いているさ!」


 簡単な掃除程度を頼む……ルゥが使役しているくらいの精霊を呼び出そうとしただけなのに!!

 何故……創始の大精霊を呼べたんだ!?

 ケントのパンを事前に食べたせいか!!?


「んー? しかも……永久契約になっているね?」

「は?」

「ほら、腕見てよ」


 ジェイド……の、右腕を見ると。

 服の上に紋様が浮かび上がっていた。書物とかで数回は見たことがある……特殊な紋様だ。

 精霊と、召喚者が死ぬまで契約を結んだ証拠!!?


「…………ケントのパンを食べた以外、何もしていないぞ!!?」

「あ、それかも。あの子の作るポーションパンは、里でも大人気だからね?」

「里?」

「うん、精霊の里。お店には、変装してよく買いに行ってたんだよ。スタンプカードも、そろそろ次の貯まりそうだなあ」


 のんびりした口調が普通なのか……創始の大精霊の一角だからか。私があたふたしているのに、実にのんきそのものだ。

 とりあえず……私も驚いてはいても、変に慌てるのをやめにすることにした。


「……と言うことは、ジェイドは私の契約精霊になったと言うことか?」

「そうだね? 何をお望み? 兄さんみたいに、君の仕事とかを手伝えばいいの?」

「……概ね、その通りだ」


 創始の大精霊を……家事手伝いなどに扱うなど、ルゥに知られれば折檻どころで済まないだろうが。

 永久契約してしまったのなら……身の回りのことを手伝ってもらうのも日常になるだろう。


「わかったよ」

「……いいのか?」


 随分とあっさり承諾されたが……ジェイドは『ただ』と指を一本立ててきた。


「里へ、定期的にケントのパンを届けるのは許可出して? 僕は……多分これから、君のそばにいるならたくさん食べれるだろうけど……父上達も欲しがっているからさ」

「……他の創始の大精霊が?」

「うん。皆お気に入りだよ? ケントのパンは」

「……そうか」


 契約精霊は得たが……とんでもない事実を知ってしまった。

 精霊界にも認められるほどの……我が弟子の日本のパンを模したポーションパン。

 人間以外にも……常連客がいると分かれば、ケントはどんな反応をするだろうか?
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