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第184話 再びお使い
しおりを挟む「……こんにちは」
先日、神より言い渡された使命。
此度……私、シロトは見事果たしますよ?
たしかに……あのポーションパンは、美味しかったです。
美味し過ぎました!
ポーションだと言うのを抜きにしても……味が大変よろしゅうございました。
派手、素朴、などなど。
種類によって味も食感も違いましたが……とにかく、美味しすぎたのです!
ケーキの方もそれはもう。
蕩けるような美味しさでありました。
ですから……神より、さらなる加護をケントにお与えされることになったのはついででも。
また、この店に来れる日が。
私は内心、大変喜んでいますとも!!
なので、午後の営業始めを狙い……他の客がいない隙に来ました!!
「いらっしゃいませ」
出迎えてくれたケントは……相変わらずニコニコしていました。一度だけ来店した客を覚えていないでしょうが……この者の笑顔は、何故か安心してしまいます。
こちらまで、つい口が緩んでしまうほどです。
「……どうも。パン、買いにきました」
「はい。前にケーキやパンをたくさん購入していただきましたよね?」
「! 覚えて」
「印象が強かったもので」
私は少々この者をみくびっていました。
観察眼が、どうやら鋭い人間なのでしょう。
加護は……すぐに与えると、あの大精霊が来るでしょうから。まずは、神や私ご所望のポーションパンを選ばなくては。
(……また、種類が)
とても良い匂いが店中にしますが……以前とは違いますね?
もっとこう……濃厚なバターの香りに加え、こってりとしたものの香りがします。
棚をざっと見ても、以前来た時より色々様変わりしている部分がありました。
「……このパンは?」
見るからに香ばしく……サックリとしていそうな雰囲気ですね。実に美味しそうですが……種類が四つも。
たくさんありますが……店の営業を考えると、それぞれ二つずつでいいでしょう。私と神の分ですからね?
「クロワッサンと言うパンの系統です。バターたっぷりでサクサクして美味しいですよ? 種類は」
ケントが説明してくださると……さらに美味しいものだとわかります。
これは……と、やはり二個ずつトレーに載せましたとも!!
(……他には。それもですが)
こんもりと言う具合にトレーへ載せてしまったので、このままだと創始の大精霊が呼ばれてしまうでしょう。
その前に……と、指を軽く振って。
神より受け取った、このケントへの加護を与えましたよ。
「ラティストー、手伝って~」
ちょうど、創始の大精霊を呼ぶタイミングでしたので。
セーフ、ですね?
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