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第104話 意味不明な行動
しおりを挟む(なんで逃げんだよ!?)
意味がわからなかった。
自分が狙われたのに、俺が動く前にシェリー自身が対処してくれたのに……感心しちまったのが良いのか悪いのか。
シェリーは俺の顔を見たら……何故か駆け出して、逃げて行ったんだ。
どう言うことか意味がわからず、ぽかんとしちまったが……すぐに切り替えて、衛兵に後始末を頼んでから追いかけた。
けど、それが遅過ぎて……あいつを見失ってしまった。
このリオーネに滞在している期間が、シェリーの方が長いのは当然なので、どこに逃げたかさっぱりわからない。
ケントのポーションパン屋は、今日休みのはずだから……行かないとは思ったが、一応行ってみた。
しかし、対応してくれたラティストには……来ていないとだけ、きっぱり言われてしまった。ケントの方は今出かけているからいないと……頼りになる奴が居ないと余計に焦った。
どこにシェリーが行ってしまったのか……全く見当がつかない!
宿に戻っている可能性は少ないし……あと考えられるとすれば、とは思っても。
焦りが強くなり、正常な判断が出来なくなってきた。
戦闘中なら、あってならねぇことなのに……そうじゃないと、こんなにも俺は弱かったのか。
惚れた相手……だからこそ、だが。
それでもあちこちを走り回っていたんだが……途中、俺の前に精霊が降りてきた。
ラティストとは違い、透けた身体を持つ中級精霊くらいか?
にこやかな笑顔で、俺の前に立ったんだ。
『探し物、探し人。我が主であれば、知っている』
「……なんだと」
一体誰だ、と口にすると……精霊が笑みを深めただけだった。
『我が主は、この街のギルマス』
「……ギルマス?」
生産ギルドと考えたが……この街の冒険者ギルドのマスターは、エルフ。精霊を使役していてもなんらおかしくはない。
と言うことは、シェリーは今そっちのギルマスのところに居るのか?!
『向かうはあそこのみ。探し人は待っている』
精霊はそれだけ言うと、存在を消してしまった。
信じて良いかどうかなど……そんなちっぽけな考えは、俺にはもうなかった。
すぐに、近くまで来ていた冒険者ギルドに向かって駆けて行けば……ロビーでは、ギルマスが待っていたのだが。
「女の子泣かしちゃ、ダメよぉん?」
笑顔だが……めちゃくちゃ怒っていた。
シェリーは、この人の前で泣いてしまったのだろう。俺の前から逃げた時も、泣きそうな顔してたしな?
「……お世話をかけました」
とりあえず、謝罪はきちんとしておくに限る。
深く腰を折ったあと、ギルマスには軽く叩かれたが……上のフロアに指を向けてくれたので、もう一度腰を折ってから階段を駆け上がり……執務室に居たのは!
「じぇ、ジェフ!?」
ソファで、紅茶を飲んでいたシェリーが居た。
俺は……その顔を見て、泣いた跡が残っているのを見て心臓が痛いくらいに締め付けられていく。
だから、行動に移した。
「……お前が、好きだ!」
その言葉を口にして、もう逃げれないように……距離を詰めて、抱きしめた。
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