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第52話 解呪への道②

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 何が……起きた、ってーんだ?

 俺は……自分の意思で、あの美味いもんを食っただけだ。

 ライス……米をパンに見立てるように、ケントって錬金士のような技能スキル持ちの奴が作った、変わったサンドイッチ。

 それを……俺の魔眼の呪いが解呪出来るものかと。

 偶然出来たからって、わざわざ俺らのところに来てくれた。

 その厚意を無碍にしたくねぇならと……実験台だが、試さずにはいられねぇのもあったが。こいつのパンは、昼間にも食ったがめちゃくちゃ美味かった。

 しかも、ポーションとしても効果は絶大。

 実際、店では言わなかったが……完全体中に刻まれていた、細かい傷痕は綺麗に消えていたのを、この宿で風呂に入った時に気づいた。

 それは、パーティーメンバーのジェフやトラディスも同じだったらしく……また明日にでも買いに行きたいとトラディスが言い出すくらいだ。


(……い゛って!?)


 今は、ケントがくれた『ライスバーガー』をひと口食っただけなのに。

 身体を包み込むくらい、紫の光に俺は包まれた。

 ほぼ同時に、魔眼の方も疼き出したが。思いっきり激痛じゃない分、まだ耐えられる。

 んでもって、信じられない出来事が起きていた。


「……は?」


 特殊な眼帯をすり抜けたかのように……濃い紫のウニョウニョしたもんが出てきた!?

 最初は糸のように……次第に、目玉くらいの大きさとなって出てきて。完全に玉の状態になったら……布団の上に落ちた。

 光も、それが落ちた途端に消えやがった。


「お兄さん!?」


 光が消えた後、トラディスが大粒の涙をこぼしながら俺に抱きついてきた。

 まだライスバーガーの残りを手にしていたため、片手で受け止めたが……トラディスは相変わらず、人一倍心配しちまう性格だから俺の胸んとこでべそべそ泣いてしまう。

 呆れはしないが、仕様がないやつだと軽く頭を撫でてやった。


「心配すんな。異常はねぇよ」

「ほ……ほんとに?」

「ああ……そいつ、なんだ?」


 他の連中もだが、魔眼から出てきた……紫の玉。

 触れようとしたが、トラディスが背負っている魔剣……フランツから待ったをかけられた。


『そいつが、呪いの根源や』


 それを聞かされると……誰もが触れるのを躊躇う。

 しかし……このままでは良くない。どうすれば……と思っていると、フランツからライスバーガーの残りをそいつに乗せろと言われた。

 ゆっくり乗せてみると……すぐに、俺を包んだのと同じように光出し……今度はすぐに消えた!?

 跡形もなく……ライスバーガーごと消えやがったんだ!!?
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