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第13話 ギルマス
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やっぱり、しゃべれるスライムが珍しいのか……ロイズさんは、僕もだけどカウルの方に興味が移り……触りたいようで、少し手がわきわきしていた。
外見のナイスミドルが少し崩れて……普通のおじさんに見えちゃう! さっきの僕の感動を返して!!
「……ロイズさん落ち着いて。そのふたりは、『例の件』を解決してくれるかもしれないの」
「! ほう……?」
エリーちゃんが待ったをかければ、ロイズさんはギルドマスターさんらしい表情になり……僕とカウルを観察する目が真剣なものになった。
元がかっこいいから、同じ男なのにちょっとだけドキドキしてしまう。
「ケントは、パン作りが得意な人間。けど、ただの職人じゃないわ。ケント、あのパン出してもらえる?」
「……いいの?」
「ロイズさんの前だからよ」
エリーちゃんにそう言われたから……収納の魔法から、まだ残っているオープンサンドを出せば。
「……亜空間収納?」
ロイズさんはちょっと驚いたようだけど、僕の思っていた反応とは違っていた。見慣れているのかな? と考えたけど、とりあえずオープンサンドをロイズさんに見てもらうことに。
「……僕とカウルが作ったパンです」
「…………お前さんだけじゃない?」
「あっしは、ケン兄さんのお役に立てるスライムでやんす!」
「……ほう?」
受け取ってくれると、ロイズさんは食べずに右目にある片眼鏡をちょいと動かして……少し待つと、赤い目がギョッと言う感じに目を丸くさせた。
「……見えた?」
エリーちゃんはひとりわかっているからか、くすくすと笑っていた。
「……おいおい。こりゃ、マジか?」
「マジの大真面目。あそこを与えれば、一発で解決よ?」
「だろうな。……ポーションがパンってキテレツだが」
「……え?」
ロイズさんには、パンがポーションって言うのを見抜かれた? 鑑定のスキル持ちなのかな??
「一種類だけでなく、複数の効果持ちだと? こりゃ、とんでもねぇ逸材を見つけたな。エリー」
「あたしの恩人だもの。だから、下手な扱いは出来ないわ」
エリーちゃんの恩人……。
たまたまパン作った時に居合わせただけなのに、そう言ってもらえると嬉しいなあ……!
「だが、こんな逸材どこで見つけてきた? パンの出来も良い……ただの田舎もんじゃねぇだろ?」
「……出来るだけ、他言しないでくれる?」
「ほう? そこまでの逸材か?」
エリーちゃんが僕と目を合わせてくると……僕から言うように促す感じだった。
僕が転生者なのに、納得してもらえるかはわからないけど……何も言わないよりは良い。
それに、僕のこれからを考えると……ここで言わなくちゃ!
「……僕。異世界からの転生者なんです」
ちゃんと口に出せば。
今度はロイズさん……ナイスミドルが台無しになるくらい大口を開けてぽかんとしちゃいました……。
外見のナイスミドルが少し崩れて……普通のおじさんに見えちゃう! さっきの僕の感動を返して!!
「……ロイズさん落ち着いて。そのふたりは、『例の件』を解決してくれるかもしれないの」
「! ほう……?」
エリーちゃんが待ったをかければ、ロイズさんはギルドマスターさんらしい表情になり……僕とカウルを観察する目が真剣なものになった。
元がかっこいいから、同じ男なのにちょっとだけドキドキしてしまう。
「ケントは、パン作りが得意な人間。けど、ただの職人じゃないわ。ケント、あのパン出してもらえる?」
「……いいの?」
「ロイズさんの前だからよ」
エリーちゃんにそう言われたから……収納の魔法から、まだ残っているオープンサンドを出せば。
「……亜空間収納?」
ロイズさんはちょっと驚いたようだけど、僕の思っていた反応とは違っていた。見慣れているのかな? と考えたけど、とりあえずオープンサンドをロイズさんに見てもらうことに。
「……僕とカウルが作ったパンです」
「…………お前さんだけじゃない?」
「あっしは、ケン兄さんのお役に立てるスライムでやんす!」
「……ほう?」
受け取ってくれると、ロイズさんは食べずに右目にある片眼鏡をちょいと動かして……少し待つと、赤い目がギョッと言う感じに目を丸くさせた。
「……見えた?」
エリーちゃんはひとりわかっているからか、くすくすと笑っていた。
「……おいおい。こりゃ、マジか?」
「マジの大真面目。あそこを与えれば、一発で解決よ?」
「だろうな。……ポーションがパンってキテレツだが」
「……え?」
ロイズさんには、パンがポーションって言うのを見抜かれた? 鑑定のスキル持ちなのかな??
「一種類だけでなく、複数の効果持ちだと? こりゃ、とんでもねぇ逸材を見つけたな。エリー」
「あたしの恩人だもの。だから、下手な扱いは出来ないわ」
エリーちゃんの恩人……。
たまたまパン作った時に居合わせただけなのに、そう言ってもらえると嬉しいなあ……!
「だが、こんな逸材どこで見つけてきた? パンの出来も良い……ただの田舎もんじゃねぇだろ?」
「……出来るだけ、他言しないでくれる?」
「ほう? そこまでの逸材か?」
エリーちゃんが僕と目を合わせてくると……僕から言うように促す感じだった。
僕が転生者なのに、納得してもらえるかはわからないけど……何も言わないよりは良い。
それに、僕のこれからを考えると……ここで言わなくちゃ!
「……僕。異世界からの転生者なんです」
ちゃんと口に出せば。
今度はロイズさん……ナイスミドルが台無しになるくらい大口を開けてぽかんとしちゃいました……。
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