11 / 603
第11話 リオーネの街中
しおりを挟む「これが仮の身分証明書。正式に発行をするのなら、冒険者ギルドか生産ギルド。もしくは、街役場に行けば可能だ。テイム……の魔物がいるのなら、冒険者ギルドがいいだろう」
「わかりました」
冒険者……には、多分なれないから縁がないだろうけど。
今回の目的は、エリーちゃんが紹介してくれる生産ギルドのギルドマスターさんに会うためだ。
それで、僕とカウルの今後のために……何か役に立てることをするためでもある。まだ転生してから……一日どころか数時間程度しか経っていないのに、どったんばったんだ。逆にダラダラしているよりずっといいけど。
とにかく、仮の身分証は立派なカードだった。木とか紙じゃなくて……ちゃんと金属製。プラスチックはないのはわかってたけど、仮なのに金属なのは驚いた。アルミじゃないのはわかるけど……スチール?
それにはチェーンが通してあったから、首からかければ大抵の住人達には認知してもらえるんだってさ。
「じゃ、ケント。行くわよ」
エリーちゃんの後について、検問場から出れば……抱っこし直したカウルをうっかり落としてしまいそうなくらい、賑やかな街並みに驚いた!!
「すっごい!!」
「やんす~!」
これぞ、ファンタジー!
ってくらいに、建物もだけど……どこもかしこも日本とは大幅にかけ離れている光景ばかり。
人間だけじゃなく、猫耳とかウサギの耳を持っている獣人って人とか。
リザードマンぽいようなトカゲの顔や体をしている人とか。
妖精やドワーフ、エルフっぽい人までいる。
それぞれが思い思いに出歩き、騒ぎ、飲み食いや商売をしたりしている。
格好も現実世界とは大幅にかけ離れていた。洋服と同じようなものもあれば全然違うのも。和服に近いものがあったのはびっくりしたけど。ちなみに、僕は転生した時からイケメン神様の手配で、村男っぽい服装だから……顔以外は紛れやすい。
それより、あちこち回りたいとは思ったけど、お金も無いし……今はギルドマスターさんへの用件があるから、エリーちゃんとはぐれないように付いていくのに精一杯だ。
「すんごいねぇ!」
「さっきも言ったけど、リオーネは城下町でもあるの。王都ほどじゃないけど、流通は凄いからケントのパンが認められたらあっという間に出回ると思うわ」
「……そうだといいけど」
もしそうなったら、イケメン神様の望みは叶えられるが……障害はひとつだけある。エリーちゃんが『屑』と言うくらい、性格とかが最悪な人達が独り占めしようとするのを止められるか。
それをさせないようにするのは……僕にイケメン神様からお願いされたことだ。好きな事をさせてもらうだけでなく、役に立てることがあるのなら……僕は嬉しい。
手配ミスで死んで転生させられたのに……と、オタク知識を教えてくれた友人だと言いそうだが、これが僕だ。
完全に生まれ変わったのとも少し違うから……僕は僕のやりたいようにする。
だって、夢だったパン職人になれるかもしれないんだから!
「ケント、ここよ」
エリーちゃんが立ち止まった先にあったのは。
日本で言うなら、そこそこ大きな会社……って思うくらいの、立派な建物。
看板は一瞬、わけのわからない単語しか書いていないように見えたのが……『リオーネ生産ギルド』とちゃんと読めた。
やっぱり、イケメン神様て決めた言語チート機能がきちんと働いているお陰なのかも。
エリーちゃんが入り口の扉を開けて、僕とカウルが入りやすいように手招きしてくれた。中に入ると……外以上に活気にあふれた空間となっていたんだ!!
32
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
マヨマヨ~迷々の旅人~
雪野湯
ファンタジー
誰でもよかった系の人に刺されて笠鷺燎は死んだ。(享年十四歳・男)
んで、あの世で裁判。
主文・『前世の罪』を償っていないので宇宙追放→次元の狭間にポイッ。
襲いかかる理不尽の連続。でも、土壇場で運良く異世界へ渡る。
なぜか、黒髪の美少女の姿だったけど……。
オマケとして剣と魔法の才と、自分が忘れていた記憶に触れるという、いまいち微妙なスキルもついてきた。
では、才能溢れる俺の初クエストは!?
ドブ掃除でした……。
掃除はともかく、異世界の人たちは良い人ばかりで居心地は悪くない。
故郷に帰りたい気持ちはあるけど、まぁ残ってもいいかなぁ、と思い始めたところにとんだ試練が。
『前世の罪』と『マヨマヨ』という奇妙な存在が、大切な日常を壊しやがった。
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました
黎
ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。
そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。
家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。
*短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる