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第8話 加工してもポーション

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 美味しい食べ方と言っても、そんな難しいことじゃない。

 キッチンに常設してある、冷蔵庫の中身を色々見つつ……材料を調理台の上に。

 無限の材料からは、卵と牛乳に加塩のバター。

 戸棚からは油とか、塩胡椒。

 冷蔵庫はきゅうりとトマト、レタス。あとマヨネーズ。

 これを使って作るのは。


「オープンサンド作るよ!!」

「「オープンサンド??」」

「簡単に言うと、バターロールで作るサンドイッチだね!」

「美味そうでやんす!!」


 カウルは当然食べたことないだろうけど、期待は大って感じに飛び跳ねた。


「…………あたし、何もしなくていいの?」

「うん。エリザベスさんは、ある意味お客様だし」

「……助けてもらったのはこっちなのに」

「いいのいいの!」


 作るのは僕大好きだからね!

 とりあえず、スクランブルエッグをチャチャっと作り……少し、魔法で乾燥させたバターロールに切り込みを入れて、マヨネーズを少し塗る。

 そこに、水洗いしてちぎったレタス。スライスしたトマトときゅうり、スクランブルエッグをはさんで。

 これでもいいけど、マヨネーズを細くかけて。あと、見つけたケチャップも同じく。

 これで出来上がり! と思っていると。


【オープンサンド(バターロールで)

 ・精神力大幅回復

 ・体力大幅回復

 ・傷口中回復


 などの効果付与となりました!】


 僕にしか見えない、ステータスと神様からのアナウンスが届いてきちゃった!?

 焼いたパンを加工しただけでも、ポーションになっちゃうの!!?


「「美味しそう……」」


 カウルはともかく、エリザベスさんには言えないからここは黙っておこう。


「さ。食べて食べて!」

「……本当にいいの? お金」

「いいって! どうせ僕らだけじゃ食べきれないし」

「でやんす」

「……じゃあ」


 薦めると、エリザベスさんはすぐにサンドを手に取ってくれて……また、かわいらしくカプッと口に入れてくれた。

 噛んだ後の表情が、とっても女の子らしくて可愛かった! あと、ポーション効果の光も、シュバッと出て消えたよ。


「美味しい?」

「とっても! え……さっきも思ったけど、食べやすいし。味も最高! 君……ケント、って王家お抱え職人とか?」

「違うよ? ちょっとした……迷子」

「……迷子がこんな凄い技術とか持っていないと思うけど」

「……あはは」


 流石に、簡単には騙されてくれませんか?

 だけど、どう説明しようかな?


「ケン兄さんはケン兄さんでやんす」


 カウルはフォローを入れてくれようとしてたけど……口いっぱいにサンド頬張っているから、説得力ないよ……。


「……言い難いのはわかるわ。じゃ、あたしから自己紹介する。あたしの名前はさっきの通り。Bランク冒険者で……この近くの街の常駐なの。ここには……ちょっとドジって、弁当忘れて。ふらついてたら来たわけ」

「……Bランク? レベル高いの?」

「……ケント、知らないの? わりかし上のレベルなんだけど」

「……田舎者。ううん、僕も言うよ」


 きちんと自己紹介してくれたのもだけど。

 僕のパンをあんなにも美味しそうに食べてくれたんだ。

 だから、カウルのことも含めて……異世界からの転生者だと告げれば。

 エリザベスさんはその場でひっくり返っちゃった……。
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