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第66話 天神様と狐子供②

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「ぷるぷる? なにこれなにこれ!! ふよふよもしてる!! すっごい!!」

『え……へへ』


 しっかり抱かせてあげれば、レインもしっかりと抱えてくれたよ。

 感触が余程気に入ったのか、最後にはすりすりと頬擦りをして……満足した顔で私に返してきたよ。


「お兄ちゃんありがとう!!」

「どう致しまして。……あの、お父さんにお願いがあるんですが」

「! なんでしょう」

「お礼をもし考えでしたら……この街のことを教えてくれませんか? 僕ら、ここに来るの初めてなんです」

「……お安いご用です」


 父親の話によると。

 このラファエロと言う場所は、王都と呼ばれる大きな街らしく。城が近いのはそのせいだそうだ。

 名物は温泉で、この宿以外にも何箇所かあるのだとか。レイン親子は、街の住民なので……宿には泊まらないが、日帰り入浴と言うのをしに来たのだとか。

 それで、今日はここにいるらしい。


「日帰り入浴ですか」

「冒険者などは宿を取るので、大抵セットですから余程のことがない限り入浴するのが普通です。住民の場合、少しだけ料金が安くなりますね?」

「ふふ。それは羨ましい」

「これだけは、住民でよかったと思いますよ」


 ちなみに、レインはフータを抱っこしながら……トビトと話している。トビトは最初おどおどしていたが、慣れてくるとまるで兄弟のように会話が弾んでいたよ。レインが話上手だからかもしれないね?


「……お城って、近くで見ることはいいんですか?」

「ええ、もちろん。リーフィア城はリーフィア国の観光名所でもありますからね? 時々、制限される箇所は多いですが、一般開放されたりもします。間違っていなければ……明日から一週間はその期間ですね」

「……なるほど」


 これは……またとない好機。

 その箇所に、聖樹石があるかはわからないが……なにも動かないよりずっと良いだろう。

 もし、森の中であったように……石の意識体が現れれば、また勝手などが変わってくるはずだ。

 気配は、聡いフータがいるし……城でいきなり、魔物に襲われることはないだろうが。

 とりあえず今は……もう少し、温泉を堪能しよう。

 父親からも、彼らが湯から上がるまで色々街などのことを教えてもらえた。


「お兄ちゃん達ー、ばいばーい!!」


 脱衣所から出た後は、レインが元気いっぱいに手を振ってくれた。

 私もだが、トビトもゆっくり私の真似をして振ってあげてたよ。仲良くなったようだね?


「……トビト、友達出来たね?」

「……友、ですか?」

『と……も、だ?』

「うん。友達」


 私は少し微妙だったが……転生した今、ここまで話し込む相手が出来たのは、二人には初めてだろう。

 元が人間の親でもあったので……私は心が温まる気がしたのだ。
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