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第53話 フータのご機嫌

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 わーい。

 わーい!

 飛んでるー!!

 お空飛んでるー!!

 飛翔と全然違うのー!!

 すっごく速いの!!

 僕は、フータ。

 風と氷の……中級精霊。

 マスターである、ミザネ様の使役精霊!!

 森で……ずっと、ずーっと待ってた。

 誰かが……僕を連れてってくれるのを。

 精霊だけど……ずっとずっと位の高い、マスターやトビト様。

 僕は……二人について行きたいと思ったんだ。

 踏まれた時はびっくりしたけど……でも、僕を見てくれて『名前』や『姿』を変えてくれた。

 戦闘でも役に立てているようで……嬉しい!!

 世界樹様から……探すように言われている『聖樹石』はすっごく綺麗なんだよね?

 僕は見つけるのが上手らしいから……トビト様にはちょっと怒られちゃうけど。マスターには、とっても喜んでもらえた。

 今回も……頑張りたい!!

 今は、ケルピーって魔物の背中に乗って……お空を走っている。速くてすごーい!!


「ふ、フータ! だ、だ……じょぶ?」

『だ……じょぶ!』


 僕はまだうまく話せられないけど……言いたいことはマスター達に伝わっているようだ。

 トビト様も、マスターと同じように……ケルピーの背にしがみついている。楽しくないのかな?


(石……石。聖樹石……!)


 ケルピーが案内してくれるらしいけど……僕も気配を探ってみる。

 ほんのちょっとだけ……言葉を話した聖樹石の意識体。

 あの方の気配を……探ればいいのかな?

 頑張って……意識と言うのを研ぎ澄ませてみると。

 頭の中に……声が聞こえたんだ!!


【見つけるのが早いですね、フータ】


 意識体と同じ声。

 ケルピーが向かっている方向とまったく同じところに……感じたんだ!!

 あの方が……聖樹石がいる場所を!!


『マスター! 見つけた!!』

「え? な……にを?」

『石! せ……じゅ、せき!!』

「誠か!?」

【この先にあるものは……お探しのものか?】

『あ……ってる!!』


 あとちょっと……で、手に入るんだ!!

 やった! と声を上げると……下から何かが飛んできたんだ。ケルピーは慌てて避けたけど……見えたのは、ボロボロの弓矢だった!?
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