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第50話 天神様と魔の森⑤
しおりを挟む「マモン! 全部取り込んじゃって!!」
ディアナがビックスライムとやらの名を呼んで指示を出すと……スライムはぷるんと身体を動かし、ゆっくりゆっくりと魔物の死体を身体の中に取り込んでいったのだが。
「……うわぁ」
『……おー』
私やフータが驚くくらいの出来事が起こったのだ。
取り込んだ死体らが……スライムの中でどんどん溶けていくのだ。見ていて気持ちのいいものではないが……まあ、驚いたね?
マモンはディアナの指示を受けながら……溶かしつつ死体らを取り込んで行き。全ての死体を取り込んで溶かした後は……ディアナから『ご苦労様』と言われて、姿を消してしまったよ。
「はい! 掃除終わり!」
一仕事終えたので、ディアナは清々しい笑顔となっていた。
「凄いです! ああ言う魔物もいるんですね!!」
「ふふ。テイムって方法で魔物を従属することが出来るの。同行させる冒険者もいるけど……私は次元が違う場所で生活させているわ。呼びたい時だけ召喚するの」
「おー!」
なかなかに、素晴らしい魔法のようだ。
私はまだ数種類しか魔法が扱えないが……辺りを焼かずに、取り込んで溶かす方法も悪くない。
テレビや映画であったような……ホラーのようで、いささか気持ちの良いものではないが。
「んじゃ、ちぃっと休もうぜ? さすがに疲れた」
ケインがそう提案してくれたので……魔物の襲撃を警戒しながら、焚き火の準備などをしていく。
空腹には至らなかったので、リクターが紅茶を人数分入れてくれたよ。コットじゃないのに、トビトはいくらか落ち着いていたが。
「水辺には……まだ遠いでしょうか?」
温かい茶に舌鼓を打ちながら、私はケインに質問を投げた。
「そうだな。探索の魔法を使えればいいが……生憎と、俺らは誰も使えん。ミザネらも……なさそうだな?」
「はい」
フータは特別目が良いようだが……今回のケルピー探しや聖樹石の在処はまだ見つかっていない。トビトも目は良いが、同じように見つけてはいないようだ。
私には、全くないからね!
「地道に行くしかないけど……ミザネ達は凄いわよ! いきなりの戦闘でも、気持ち良いくらい連携が取りやすかったわ!! 何か訓練でも受けてたの?」
「いいえ?」
私やトビトはこちらの世界に転生させられるまで……全く、戦闘とは縁のない世界にいた。
トビトは梅の木。
私は神であったからね? もちろん彼らには言えないことだが。
「……………………それでも、凄い」
言葉少ないリクターにも、素直に褒めてくれたよ。いくらか、胸がこそばゆいね?
そんな和やかな会話をしてから……出発と休憩を繰り返し、戦闘も何度も何度も繰り返した成果があってか。
目的地のひとつ……大きな湖に到着することが出来たよ。
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