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第24話 天神様と真偽②
しおりを挟む「……これは、凄い討伐証拠さね?」
初めて訪れる……執務室とやらは、とても広かったね。
上質な部屋の造りもだが、今腰掛けさせてもらっている……ソファとやらも随分と質が良い。
私はフータを抱え、トビトには横に座ってもらっている。
そして……エディトの方は、私達が持ってきた小鬼の討伐証拠を眺めていたのだ。
「……普通ではないんですか?」
とりあえず、どう言うものなのか私達にはわかっていないのだ。きちんと知りたいのである。
「……ミザネ。あんた、本当に三輪草の群生地で……このホブ小鬼の群れに遭遇したのかい?」
「ホブ?」
「冒険者とは違うが……職業に似た能力を持つ小鬼のことだよ。……本当に知らなかったんだね?」
「……お恥ずかしながら」
何せ、異世界転生とやらになってから……まだ二日程度しか経っていない。
知らないことが多いのは無理もないのだ。
ただ、トビトには少しエディトの言葉がイラッときたのか目が鋭くなった。小突いて落ち着かせたりはしたが。
「ふぅん……あんたらは嘘をついていないようだ。それは信じよう。しかし、そっちのトビトはともかく……ミザネまで腕が立つとは。ほんと、あんたらは期待の新人だねぇ?」
「……どうも」
討伐に関しては、私よりもフータとトビトがいなくては何とかならなかったが。
とりあえず、今度は興奮して私を褒めようかとしていたトビトを抑え、私は軽く返事をしておいた。
それが気に入ったのか、エディトは妖艶に笑うだけだった。
「それと……あちこちでホブ以上の魔物らの出現傾向が減少したんだよ。それで下はバタバタしてたんだが……あんたら、知らないかい?」
「「……いいえ」」
『し……ら、ない……』
思い当たることと言えば、聖樹石だろうが……やはり言っても信じてもらえないだろうと、皆で首を横に振ったのだ。
「……そうかい。ま、今回はこんなとこさ。良い薬草の採取もしてくれたし……換金ももう済んでいると思うよ。行っておいで」
「……お邪魔しました」
長居は無用? と言う感じに、私達は執務室を後にし……ミィらが換金していたお金を受け取ることになったのだが。
「討伐証拠関係もあり、本日は10万Bを受け取ってください」
とまあ、かなりの金額をいただいてしまったよ。
「こんな……にも?」
「今回も採取していただいたものが、質が大変良かったので!」
「……ありがとうございます」
そこはやはり、フータ以外の私達も精霊だからかな?
それについては、公に出来ないことなので……少し苦笑いになっただろうが、笑顔で受け取ることにした。
貨幣がかなり多くなった場合は……と、ミィから冒険者専用の財布を販売しているからと教えてもらい。
現世であれば、絶対持ち歩きたいいくらでも入る財布を手に入れることが出来たのだ。
これが、見た目は薄い普通の長財布だから驚いたよ!
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