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32-3.終わり
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婚約パーティーは、各家族を招いたことで和やかに終わった。
シャインの錬成料理やセリカの料理も皆に喜ばれ。陛下や王妃様にも、研究を進めるようにとのお言葉をいただいた。
ただ一点。母には、注意されてしまったのだ。
「せっかくのセリカちゃんのお料理があるんだから、楽して美味しい料理を作り過ぎないように。昔はともかく、今は大丈夫なようだけど……あなた、見るも無様な姿にならないでちょうだいね?」
実は、母さん。
既にそうなって、セリカのトレーニングなどでこってり絞られたとは、陛下達の前もあったので言わなかった。
とりあえず、パーティーは無事に終わり。主役達が片付けをしたので親世代達は帰路に着き。
ガイウス達が帰る前に、セリカと作った手土産を渡した。
「? なーに?」
「プリンです」
「え、プリン!?」
「「ぷりん??」」
「僕の前世でいっちばん好きだったお菓子!」
「セリカに組み込んだ異世界レシピのお陰だ」
「わーい! ありがたく食べるよ!!」
「ガイウス様。どんなお菓子ですか??」
「そうだね? パフェに向いているんだけど、プルプルしてて冷たくて甘いお菓子」
「おー!」
「あ、クロ。ミリアム様の分もあるの?」
「ああ。お前のお袋さん達の分も入れた。ゆっくり味わえ」
「うん!」
とりあえず、生菓子なのでさっさと帰れと三人を見送り。完全に姿が見えなくなってから、俺はセリカと二人で休息のプリンタイムを迎えた。
「うむ。美味い」
「今日はたくさん飲み食いしたから、ほどほどにね?」
「手厳しいな?」
「だって、将来の旦那様にまた太ってほしくないもの」
「……ああ」
もう、あのようなオークのように醜い姿になるのは俺もごめんだ。
トレーニングも厳しかったし、何よりもう無闇に錬成料理ばかり貪り食べる意欲はない。
もう処分した、不正のエーテル培養液の毒素に呪詛でも含まれていたのかどうかはもうわからないが。
セリカとの生活をこれからも続けて行くのだ。
ならば。
「セリカ、こっちに来てくれ」
「なぁに?」
来い来いと手招きして、俺との距離が縮まったら。腕を掴んでヒョイっと膝上に座らせた。
「ふむ」
「く、クローム!」
「誓約のせいで、必要以上に触れられないのだ。これくらいは大丈夫そうだが」
「ちょっ、ちょっと!」
「少し、じっとしてろ」
「!?」
セリカの細い顎を上向かせ、俺はゆっくりと彼女の方に顔を近づけた。
「……くく」
「……クローム」
ほんの少しだけ、柔らかな唇に触れてすぐに離れた。あまり積極的にやり過ぎると歯止めがきかなくなりそうだからだ。
「セリカ。これからは婚約者として改めて頼むぞ?」
「う、うん! 頑張っていい奥さんになるわ!」
「ああ」
互いの背に腕を回して、きつく抱き合い。
満腹でなかった、クローム=アルケイディスは自ら生み出したホムンクルスにより、幸せな生活を手にしたのだった。
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