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32-1.豹変?(セリカ視点)
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事件が終息を迎えて、私を生み出した『恵の豊穣』のエーテル培養液も無事にちゃんとしたものに取り替えが出来た。
出来た……出来たのは、いいんだけどぉ!
「美味し過ぎるのよ!」
【Exactly! 我は創造主が生み出した最高魔導具だからだ!】
「むー、培養液がなきゃ食材しか出来なかったのにぃ!」
【Ha ha ha! 真価を発揮出来なかっただけのことよ】
「それと変な性格になってるんだけどぉ?」
【Pardon??】
「ムッキー!」
以前は荘厳な雰囲気が漂うくらい、尊敬に値する人工魔導具だったのに!
エーテル培養液を入れ替えて、調子が良くなってからはずっとこうだ。
もう一度組み立て直さなきゃいけないんじゃ、とも思ったが。クロームがそうすると今までのレシピはすべて消えてなくなるので我慢しようと言うことになった。
けど、正直……お母さんなのに、ムカつく!
ムカつく言動が多過ぎて反抗期を起こしそうだわ!
いくら、私の実年齢が赤ん坊でも、クローム達に猫を被ってたあの性格よりも最悪だ。なんでこうなった!?
【セリカ。我の言動の程度くらいは、些末なことだ】
そして、急に前のようになるんだから、ギャップが強すぎて精神的に疲れるわ。
【あなたと創造主。他にも件の王太子やマールドゥ。チェストに第一王女。国を挙げての婚姻が山ほどあるんだ。彼らに祝いの品を作るのもいいのでは?】
「祝いの品?」
【服は王族だから、上等なものが多いだろう。であれば、我やセリカの料理の腕を使うしかあるまい。幸い、数人であればこの屋敷を使ってパーティーくらい出来るだろう?】
「おお」
さすがは、魔導具。いい提案をしてくれた。
たしかに、結婚式とかはそれぞれになってしまうけど、料理を振る舞う……しかも、異世界の料理を振る舞うのは私達くらいしか出来ないだろう。
クロームの異世界召喚を使い過ぎるのも良くないし、なら、近いうちに三組の婚約パーティーを開くのもいいかもしれない。
そうと決まれば、と。一応シャインにお礼を言ってから、クロームがいる調合室に向かった。
シャインの提案通りに告げれば、クロームも賛成してくれたわ。
「婚約パーティーか? なら、母さん達も呼ぶか? 友人だけで騒ぐのもいいが、滅多にない機会だからな?」
「ねー? あ、もしかして国王様とか来るかな?」
「……正直わからんな? 俺はガイウスとは交友があっても、陛下や王妃とは会ったことがない」
「王女様とかも?」
「ないな。今回が初めてになるだろう」
「ふーん。どんな人達かなあ?」
「王女の方は武闘派らしいが、他は絵姿程度だ。それを楽しみにしておくこともいいだろう」
「そうだね?」
気の合う人達ならいいと思うんだけど。
それは出会ってみないとわからない。
で、招待状の件は、一度ギルマスに電報で相談して。仲介を彼にお願いする形で、方々に送ってくれることになった。
もちろん、ギルマスや副ギルマスも招待組だ。
約二週間後。
私達の、改めての婚約パーティーが開催されることになったのだった。
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