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23-3.打ち合わせ(チェスト視点)
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「なーんで、連れてってくれなかったのよぉおおおおおおおお!!!!」
「うぉっと!?」
「……ギルマスも、王太子殿下もお人が悪いですね」
「ほんとですよぉおおお!!」
王太子殿下はとっくに転移の魔法で王宮に帰られたが。僕とギルマスは荷馬車で街に帰ってきて、生産ギルドのマスターの執務室に到着したら……説明を聞き終えたマールに突っかけられたわけである。
副ギルマスも片眼鏡が壊れんばかりに、艶出しの布で拭きまくっていた。
「まあ、そうは言いますがね? クローム君とセリカさんが結ばれたことは、僕とチェスト君も今日知ったわけですから」
「でもでもでもぉおおおおお!? クロームのやつ……なんで、すぐに! 私に教えないんじゃぁあああああ!!」
「落ち着きなさい、マールドゥ」
「だってだって、副ギルマスぅ!!」
「殿下が行かれたのであれば、私達の出番は必要ありませんから」
「むぅ……」
暴走するマールの気持ちは分からなくはないけど、今は打ち合わせだ。
クロとセリカちゃんの協力も得られたんだから、マールや副ギルマスにもちゃんと報告しなきゃ。
「クローム君とセリカさんの協力も得られました。例のエーテル生成液が完成して受け取る際に……ミリアムやビーツ、他に洗脳を受けた職員の暗示を解きます」
「けど、ギルマス~。クロームはどうやって解くんですか? あいつ魔術師でもなんでもないですよ?」
「殿下から提案がありましてね?……おふたりのご関係を、婚約まで引き上げて公表させればよいのかと」
「「はい??」」
「えーつまり、ショック療法ですよ。クローム君の身体もだいぶ元通りにまで戻っていますし。……彼を密かに想っていた女性陣達の目を覚ますのにもいいでしょう?」
「え、よくわかんないですけど?」
「マール君、あなたは違いますが。クローム君の美貌は王家にも匹敵するでしょう? 女性にとって憧れの存在ではありませんか?」
「え、ええ、はい」
たしかに、マールは綺麗なモノや可愛いモノが大好きではあるけど。クロについては、昔からクロを知り過ぎているからって理由でクロを恋愛対象には見ていなかった。
一度も? と昔聞いたりはしたが、あの性格だから夢が壊れたと苦笑いしてたのに。……僕はもしや告白して玉砕したんじゃ、と思ったけど。
今は、気にしていないのかセリカちゃんを応援してたって聞いたし。吹っ切れているならいいけど、とは思っているが。
それは置いといて、たしかにクロの顔立ちはガイウス殿下に匹敵するんだよね~?
「今、セリカさんのトレーニングメニューによって。それはさらに磨かれています。それに今日、初めて彼に謝罪されたんですよ」
「く、クロームがですか!?」
「ほう、あのクローム=アルケイディスがですか」
「問題児ばりの性格も、セリカさんのお陰でかなり改善されていました。であれば、ふたりの絆は確実なものです。表向きは、僕らがお祝いする形で執務室に案内します」
「で、婚礼の誓約を発行するんですか~?」
「そうですね、チェスト君。けど、それを妨害するのはディスケット並びに洗脳を受けた職員ですから……そこを」
などと、こしょこしょ話し合っていたら、ドアをノックする音が聞こえたのだった。
「し、失礼……します」
用件があったのは、洗脳を受けているビーツだった。
表向きはいつも通りのオドオドした態度のままだけど……。この職員にあんな秘密がねぇ?
「おや、ビーツ。僕にですかな?」
「は、はい! あ、あとチェストさんもですが……」
「僕~?」
「く、クロームさんのポーションが完売してしまったので、ギルマスと担当の職員を……と」
「ああ。冒険者の人達ですか……」
「わかった~。今日納品だったから持ってくね~?」
「お、お願いします……!」
洗脳は、裏の顔を見せると言うが。
こうも、表の顔で隠せられるとは。小物だと思ってたディスケットは、自分の技能の使い方を間違っているんじゃ……と思わずにはいられなかった。
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