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8-2.ダイエットピクニック②(セリカ視点)
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あれから、また半月も経って。
マスターは順調過ぎるくらい、なんと25キロも痩せてしまった。
それだけ、シャインのエーテル培養液について、本気で取り組もうとしている証拠なのだろう。
贅肉もだいぶ落ちて、少しはメリハリも付いてきた身体だが、まだまだ元のマスターには程遠い姿。
だから、私も全力でサポートする。
そして、マスターに振り向いてもらうために!
とりあえず、プランクだけでなく全般的に身体を鍛えてからのお昼になったわけだけども。
「うむ。美味い、美味いぞ!」
「……急いで食べないで。もっとゆっくり」
「う、うむ」
また可愛くない言い方になってしまったが、実際にマスターは未だにガツガツと食べまくるのでいけないからだ。
満腹感を得るには、よく噛んでゆっくり味わって食べて。
胃に負担を覚えさせなくてはいけないからだが。
今日作ったお弁当のメニューは、
キノコの肉巻き
青菜の野菜炒め
卵焼き
BLTCブランパンサンドイッチ
兎りんご
ふすまクッキーINクリームチーズサンド
少し痩せたのと、今日はたっぷり運動をしてもらうから、頑張って作ったのに。
もっと味わって欲しいものだ。
とは言っても、美味しそうに食べてくれるから悶えそうになる気持ちを落ち着かせるのに大変だったけど!
「この後の運動も頑張ったら、帰ってからいつものアイス使ってパフェ作る」
「パフェ、だと!」
「この半年近くで、75キロも痩せたから。そのご褒美」
「頑張る!」
「だからゆっくり食べて」
「うむ!」
美味しいからって、たくさん食べてくれるのは嬉しいけどもそれではマスターの身体のためにならない。
シャインで生み出していた、マスターにとっては美味揃いだった錬成料理を飽きるまで食べ尽くしてこの身体になってしまったのだから。
少しでも、マスターに身体の負担になる事態は避けたい。
お昼ご飯は私も食べて、次はいよいよランニングに移る予定だ!
「マスター。この後屋敷周辺……約5キロを走ってもらう」
「は、走る?」
「もちろん、十分な食休みを取ってからだけど」
「こ、この土地を走るのか?」
「まずはゆっくりで良いから。少しでも走れるようになったら、体力がついて代謝……マスターの便通も良くなるはず」
今でさえ、三日に一度と改善されてもまだまだ。
消化の遅いキノコを大量に食べてもらってても、身体に染みついている老廃物を出すには、もうひと工夫しなくてはいけない。
運動も適度に。
徐々に変化をつけるのがいい。
シャインをベースに、造った道具ももちろん活用するが、基礎体力をつける意味でもランニングは必須だろう。
とりあえず、マスターが30分だけ昼寝をしてから、しっかり準備運動をする。
「私も走るから、頑張ろう」
「う、うむ。これも痩せるため!」
「うん」
これが本当に、自堕落な生活を望んでた人間には思えない。
理由が理由とは言っても。
怠惰を好む人間が、こうまで意欲的に活動をするとは、少なくとも私には思えない。
なら、私も全力でサポートするまで!
「これくらいでいいか?」
やっぱり、準備運動だけで汗だくになってしまったので。洗浄の生活魔法で乾かして。
「呼吸は鼻で二回吸って、口で吐く。これをゆっくり繰り返しながらウォーキングのリズムのように走れば、少し楽しくなるはず」
「た、楽しい?」
「苦行だけど、楽しまなくちゃ意味がない」
「意味?」
「自分のためだからって、痩せるのにも楽しみを見出さないと。理由がどうであれ」
「ふむ。そうだな……たしかに運動は少し苦しいが、痩せるのは少し楽しくなっている!」
「その調子。行くよ」
「うむ!」
だから、マスターの速さに合わせてのランニングだったが。
ほとんどウォーキングと変わらない速さで、約二時間かけて5キロを走り終えて。
仕方ないので、洗浄以外にも体力回復用のポーションに、治癒魔法をかけてからゆっくりと屋敷に戻り。
マスターには、お風呂に入ってもらっている間にパフェ作りをすることにした。
「果物はたっぷり、豆乳クリームを使って。甘味はラカント。たまには、アイスに混ぜるのもいいからビターチョコを砕いて」
マスターがお風呂から上がってくるまで、時間をかけてゆっくりとパフェ作りをするのだった。
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