【完結】パンでパンでポン！！〜付喪神と作る美味しいパンたち〜

第25話 びっくり元気

　びっくりしたけど……駿しゅんなら大丈夫だと思う。

　あんドーナツはちょっと減ったけど、まだまだたくさんあるわ。

　駿のお家は大丈夫だけど、またみんなに持っていこうかな？

　樹いつきおじいちゃんは元気になったけど……もっと元気になってほしいし！


「ねぇ、おじいちゃん！」

「あ？」


　おじいちゃんはあたしが駿からもらった、焼き鳥の袋を渡したから……一本食べてた。美濃みのさんまで。


『美味じゃ。久しいの？　このような馳走は』

「俊坊、腕上がったな」

「あたしも食べたい！　じゃなくて！！」

「『うん？』」

「樹おじいちゃんたちに、あんドーナツ持って行きたいの！」

「おぅ。いいな？　何個かは涼太りょうたらに残しておくか」

「うん！」


　おとうさんにおかあさんやおばあちゃんの分は持っていくと……おとうさんが『俺よりすげぇ』って泣いてた。おじいちゃんが手伝ってくれたのももちろんだけど、美濃さんと一緒だもん。すごいんだもん。言えないけど。


「あら、さっちゃんいらっしゃい」


　今日も樹おじいちゃんのお家に行くと、いよ子おばあちゃんがお出迎えしてくれたわ。おじいちゃんがケースを持っているから、今日も何しに来たかわかっているみたい。

　美濃さんは、あたしが呼べばここに来れるから今はいないわ。


「いよ子さん、樹さんの状態は？」

「ふふ。それが、すっかりいいの」


　きてきてって、手を振ってくれるから……あたしは、『おじゃましまーす』って言ってから、お家に上がると。

　奥から、キュッキュッと音が聞こえてきたわ。


「？　なーに？」

「さっちゃん、行ってみて？」

「？　うん？」


　聞こえる方に行ってみれば……ろーかを、樹おじいちゃんがぞうきんで一生懸命におそうじしてたの！？

　さー、さーって！！

　あたしの前を、すっごいはやく走っていくわ！！


「ん？　桜乃さくのちゃん？」

「い、樹おじいちゃん、大丈夫なの！？」


　あたしや美濃さんのパンで、元気になったらしいけど……そんなにも動いて大丈夫なのかな？

　樹おじいちゃんはあたしの前まで、キュキュッと戻って来てにっこり笑ってくれた。


「いらっしゃい」

「えっと……おじゃましてます。樹おじいちゃん、大丈夫？」


　もう一回聞くと、おじいちゃんはキレイに立ったわ。


「うん。お医者さんにもすっごく驚かれたよ。一番元気だった時よりも元気になったって。多分、桜乃ちゃんと美濃さんのパンを何回か食べれば……もっと長く元気でいられるだろうね？」

「となると見て、桜乃が持って行こうって言ってくれたんだよ。今日はあんドーナツだ、樹さん」

「それは嬉しいね？」


　おじいちゃんも来たから……お部屋でおやつにする前に、美濃さんを呼んだんだー。