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第三章
《使役獣 5》
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セイラは朝のうちに名前を決めてしまおうと家事をしていたが、結局時間が空いたのは夜になってからだった。
「セイラ様、どうですか?」
「お茶はいりますか?」
セイラに引っ付く双子、それを少し離れてたところで見てるカルムにセイラは困ったような顔をする。
「あの、一人で考えたいのだけど。」
「嫌です。」
「たまには構ってください。」
「……。」
珍しく甘えたな双子にセイラはカレンダーを見て納得する。
今日はレミラが亡くなってちょうど一年だった。
だから、彼女たちは無意識にぬくもりを求めているのだろう。
セイラはそれを理解すると、これ以上何も言う事はなかった。
双子はセイラが何も言わなくなったので、べったりと甘える。
セイラは双子には悪いと思いながらも、彼の徐たちを甘えさせるためにも、これに集中しようと思った。
口元に指をあてる。
青龍、春、東。
「東風…東雲…。」
ふっとそんな言葉がセイラの脳裏に浮かんだ。
「そう言えば、南雲という言葉があったよな、それなら。」
セイラはさらさらと書いていく。
青龍→東風(こち)
朱雀→南雲(なぐも)
白虎→
玄武→
麒麟→
青龍と朱雀はさくりと決まりそうだが、残りは手が止まる。
「うーん、西か…。」
風、雲、とセイラは空を見上げる。
「……空…うーん。」
駄目だ、とセイラは東西南北で絞るのを早々に諦める。
「秋、夕暮れ…。」
セイラは捻りだそうと必死で考えるが、残念な事に一時間以上粘るがいいアイデアが浮かばなかった。
「……ちょっと、外に出るね。」
諦めて、外に出ようとするが、カルムに腕を掴まれる。
「お前、こんな遅い時間に外に出るのか?」
「えっ?」
「本気か?」
笑みを浮かべるカルムにセイラは顔を引きつらせる。
「もし、出るんならついて行くからな。」
「うっ…。」
双子もついて行きそうな空気にセイラは、これ以上は無理だな、と思い、泣く泣く椅子に腰かけ、紙を片付ける。
「今日は諦めるわ。」
「そうか。」
セイラはこうして、今日は本当に諦めようとした。
「セイラ様、どうですか?」
「お茶はいりますか?」
セイラに引っ付く双子、それを少し離れてたところで見てるカルムにセイラは困ったような顔をする。
「あの、一人で考えたいのだけど。」
「嫌です。」
「たまには構ってください。」
「……。」
珍しく甘えたな双子にセイラはカレンダーを見て納得する。
今日はレミラが亡くなってちょうど一年だった。
だから、彼女たちは無意識にぬくもりを求めているのだろう。
セイラはそれを理解すると、これ以上何も言う事はなかった。
双子はセイラが何も言わなくなったので、べったりと甘える。
セイラは双子には悪いと思いながらも、彼の徐たちを甘えさせるためにも、これに集中しようと思った。
口元に指をあてる。
青龍、春、東。
「東風…東雲…。」
ふっとそんな言葉がセイラの脳裏に浮かんだ。
「そう言えば、南雲という言葉があったよな、それなら。」
セイラはさらさらと書いていく。
青龍→東風(こち)
朱雀→南雲(なぐも)
白虎→
玄武→
麒麟→
青龍と朱雀はさくりと決まりそうだが、残りは手が止まる。
「うーん、西か…。」
風、雲、とセイラは空を見上げる。
「……空…うーん。」
駄目だ、とセイラは東西南北で絞るのを早々に諦める。
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「……ちょっと、外に出るね。」
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「えっ?」
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笑みを浮かべるカルムにセイラは顔を引きつらせる。
「もし、出るんならついて行くからな。」
「うっ…。」
双子もついて行きそうな空気にセイラは、これ以上は無理だな、と思い、泣く泣く椅子に腰かけ、紙を片付ける。
「今日は諦めるわ。」
「そうか。」
セイラはこうして、今日は本当に諦めようとした。
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